就任のご挨拶 ー 支援者から実践者へ
この度、Xactly日本法人のGTM統括責任者に着任いたしました、川上エリカです。重責に身が引き締まる思いと同時に、この機会を託されたことへの静かな高揚を感じています。
これまで私は『レベニューオペレーション(RevOps)の教科書』を上梓し、GTM戦略およびレベニューオペレーションモデルの設計・構築を支援する会社を経営してまいりました。多くのお客様から共感と信頼をお寄せいただき、事業は堅実に成長を続けていました。
外から見れば、あえて大きな環境変化を選ぶ理由はないように映ったかもしれません。
しかし、XactlyのCEOであるArnab Mishra、プロダクト責任者のChristopher Liをはじめとするグローバルチームと対話を重ねる中で、ひとつの確信に至りました。理論や支援の立場を越え、自らGTMの実務責任を担い、進化したXactlyとともに、日本市場におけるXactlyの再成長を牽引する立場に身を置きたい、と。
そして「概念としてのRevOps」ではなく、「経営基盤として機能するRevOps」を日本市場で実証する。
それが、いまこの局面で私が担うべき役割だと考えています。
進化したXactly ー「Intelligent Revenue Platform」としての衝撃
長年の外資系IT企業での経験を経て、私が身近に感じていたXactlyは「インセンティブ管理」の会社でした。
営業の報酬計算を正確に行う。
複雑なコミッション設計を自動化する。
それは確かに重要です。しかし、あくまでセールスオペレーション(Sales Ops)の一部です。
ところが、プロダクト理解を深める中で認識した現在のXactlyは、まったくの別物でした。
Xactlyはセールスストラテジー*のライフサイクルそのものを包含する「Intelligent Revenue Platform」へと進化を遂げ、グローバル企業のレベニュープロセスを支援しています。
*セールスストラテジーは、営業組織の「参謀・司令塔」として、データに基づく戦略立案、営業プロセスの最適化、予測精度の向上などを通じて、企業の成長を加速させます。詳細については、改めて別記事で整理したいと思います。

Xactlyの株主でもあり、世界的に成功確率が高いプライベートエクイティとして知られるVistaの創業者、Robert F. Smithはこう語っています。
“All software companies taste like chicken. They’re selling different products, but 80% of what they do is pretty much the same.”
「すべてのソフトウェア会社はチキンの味がする。扱うプロダクトは異なっても、やっていることの80%はほとんど同じだ。」
これはソフトウェア企業に向けた発言ではありますが、その示唆は業界を超えて通用します。
事業運営には、差別化の余地が小さい「標準化すべき構造」が存在するということです。
実際、セールスストラテジーのライフサイクルやフォーキャストマネジメントにも、過度にカスタマイズすべきではないベストプラクティスの領域があります。持続的な事業成長を実現するためには、標準化すべき構造と、業界独自の競争優位を築く領域や戦略的に差別化すべき領域を峻別する必要があります。
その上でXactlyが選んだアプローチは、硬直的な「パッケージ」でも長期的にTCO(Total Cost of Ownership:総所有コスト)が上がる「ツールキット」でもありません。
Composable
標準化された設計思想の上に立ちながら、
業界特性や戦略変化に応じて拡張可能であること。
レベニュー組織の中でも営業組織は、企業の中で最も速く変化する部門です。戦略は変わる。テリトリーは再設計される。評価制度や報酬設計も戦略実現のために更新される。
それにもかかわらず、システムが変化に追随できなければ、予測精度は下がり、投資判断は遅れ、戦略実行は鈍化します。
Xactlyが描いているのは、それらを個別最適で解決するツールではありません。
レベニューを管理するのではなく、
レベニューを設計可能にする。
私はそれを、経営のレベニュープラットフォームだと捉えています。
そして、この構想が日本市場ではまだ十分に実装されていないという事実こそが、いま向き合うべき最大の機会であり、挑戦の余地だと感じています。
プロダクト組織配下で進める日本独自の戦略的価値
外資系企業の日本法人の多くは、本社のセールス組織配下に位置しています。
それは決して珍しいことではなく、むしろ合理的なモデルです。
グローバル本社で設計されたプロダクトと戦略を、日本市場に最適化しながら展開していく。その役割は極めて重要であり、多くの企業がこのモデルで成功を収めてきました。
一方で、今回Xactlyが日本市場を再構築するにあたり、日本はプロダクト責任者配下に位置づけられました。
これは組織図上の変更以上の意味を持つと、私は受け止めています。
日本と欧米では、報酬設計の流動性も、営業組織の構造も、意思決定のスピードも大きく異なります。セールスストラテジーという組織・概念自体も、まだ十分に浸透しているとは言えません。
そのような市場において、本社で成功しているGTMモデルをそのまま転用することは容易ではありません。だからこそ、日本市場の独自性を尊重しながら、中長期的な売上成長を見据えた戦略設計が必要になります。
今回の組織設計は、日本市場に対する短期的な売上責任を軽視するものでありません。しかし同時に、より長い視点で市場を育て、プロダクトと市場の適合性を高めることに重きを置く意思決定でもあります。
先週参加したグローバルのレベニューキックオフイベントでは、Xactlyのこの5年間のプロダクト投資、とりわけAI領域とComposabilityの強化が、「竹」に例えられていました。
竹は、地上に大きく伸びる前に、長い時間をかけて地下に根を張ります。
一見すると成長していないように見える期間こそが、その後の急成長を支える準備期間です。
そして、十分に根が張られた瞬間、それまでの静けさが嘘のように、一気に天へと伸びていく。
Xactlyは、すでにその根を張り終えたフェーズにある。
これから一気に成長の局面に入る。
私はその説明を聞きながら、日本市場の現在地を重ねていました。
FY27の日本は、プロダクトチーム傘下のもと、市場に深く根を張る一年になるでしょう。
日本のお客様の現状を理解し、市場構造への洞察を深めながら、着実に価値を届ける。
そして、その基盤の上に立ち、これまでのXactlyしか知らない方からすれば驚くような成長を実現していく。
私は、その未来を現実にできると確信しています。
共に、次のレベニューモデルを設計する
売上は伸びているが、それは持続可能か。
戦略は、現場の実行と整合しているか。
早期かつ高精度に着地予測を立て、投資判断に活用できているか。
組織設計は、変化のスピードに耐えられる構造になっているか。
レベニューの課題は、営業現場のオペレーションの問題ではありません。
それは、経営の構造設計の問題です。
売上成長を、偶然ではなく再現可能な構造へ。
このテーマに向き合う皆様と、対話の機会を持たせていただきたいです。
そして、いまのXactly日本は、成熟したプロダクトを背景にしながらも、市場を再定義していく極めて稀有なフェーズにあります。
この挑戦に関心をお持ちの方とも、カジュアルにお話できれば幸いです。
※ウェブサイトからは読み取りにくい点は徐々にアップデートしてまいります。
最後に
レベニュー成長は、設計できる。
そして設計された成長は、持続する。
日本市場で、その証明を積み上げてまいります。
2026年2月 Xactly株式会社 日本法人 GTM統括責任者 川上 エリカ