最高レベニュー責任者(CRO:Chief Revenue Officer)という役職が、10年以上前から増加傾向にあります。しかし、ここ2年の間に、この役職の重要性が顕在化することとなりました。近年、企業が売上を増やしていく上で、俊敏で、革新的で、かつ戦略的である必要性が増しています。
CROは、部門横断的なアプローチを取り入れることで、売上増加という目標を達成していきます。部門サイロを解消し、協力の文化を築き、データに基づくスマートな意思決定を実現するのです。
これは、今日のビジネス環境で競争力を維持することを目指す企業にとって、極めて重要なステップです。ガートナー社は、2025年までに、世界で最も成長している企業の75%が、一元的なレベニューオペレーション(RevOps)モデルを採用すると報告しています。
> RevOps(レベニューオペレーション)とは?RevOpsが重要である理由についてはこちらからご覧ください
この最高レベニュー責任者(CRO)の役割について、以下の点に触れながら説明していきます。
- CROの定義と責務
- CROが必要な理由
- CROに求められる条件
最高レベニュー責任者(CRO)とは?
最高レベニュー責任者(CRO)とは、全社的な売上創出戦略に対する責任を担う経営幹部です。各部門による売上増加の取り組みを監督します。営業、マーケティング、経営企画、事業開発、カスタマーサポート/サクセスなど、売上創出に影響する全部門間の調整を行います。
CROは部門横断的な責務を担うため、その成功にはレベニューオペレーション(RevOps)に関する詳しい知識を有していることが求められます。RevOpsとは、協力の文化と最新のテクノロジーツールによって支えられる、新しい取り組みです。組織を横断的に調整し、売上の最大化を促します。
確かなRevOpsの考え方を持つCROは、全社での成功に向けて、部門横断的に重要とされるKPI(重要業績指標)を管理します。
CRO と営業のトップ(ここでは営業バイスプレジデント:営業VPと表記します)を区別することが重要です。CROの役割が広がり一般化するにつれて、従来の営業VPと混同されることが多くなってきました。どちらも売上に注目する役職ですが、機能的には全く異なります。営業VPの役割は、営業部門の監督と戦略が中心です。一方のCROは、部門横断的に売上創出管理・成長アプローチを取り入れる責務を担っています。
この2つの役職の違いを下図にまとめます。
多くの企業における主な売上推進力は営業部門であることから、CROと営業VPが密接に連携しているケースは多いでしょう。しかし、組織構造で言えば、CROは、COOやCFOなどの最高幹部と並ぶ、CEO直属の役職です。他の最高幹部と連携し、全社的なビジネス目標と整合性の取れた売上戦略を策定して実行します。
CROが必要な理由
テクノロジーの進歩に伴い、企業の売上管理や顧客とのエンゲージメント方法も進化しています。CROは、顧客と直接接している部門を相互に調整を図り、最適化することで、これらの部門の連携による効果を確保します。
なぜ、それが重要なのでしょうか。組織の連携が取れていれば、より大きな成長と売上を実現できるからです。実際、Forrester社は、レベニューオペレーション(RevOps)部門間の連携が取れている企業は、そうでない企業に比べ成長スピードが12~15倍早く、売上は34%高いと報告しています。
それでは、スマートな企業がCROを採用している理由を紹介します。
テクノロジーの変革
今のビジネスにおいて、テクノロジー活用して戦略やオペレーションを強化することが必須条件です。企業は、顧客関係管理、マーケティングオートメーション(MA)など、あらゆる分野にソフトウェアプラットフォームを取り入れています。これらを機能させるために複数のプラットフォームが導入されていますが、よくある落とし穴として、これらのシステムがサイロ化されていることです。
CROは、テクノロジーの利用に関して、主に2つの目標を達成することが必要です。
- テクノロジーツールを可能な限り統合および調整し、より高次の目標に向かって取り組めるようにする
- ツールを戦略的に導入し、各ツールの可能性とROI(投資利益率)を最大化する
カスタマーエクスペリエンスの最適化
企業にとってカスタマーエクスペリエンスが重要になっています。昨今のお客様は、シームレスで、パーソナライズされた、ポジティブなブランドエクスペリエンスを期待しています。多くのお客様が、価格や商品よりも、カスタマーエクスペリエンスを重視しているのです。最近の調査から、86%の消費者が、より良い体験を得るためには、高い金額を支払っても構わないと考えていることが分かっています。
この状況を受け、企業はカスタマーエクスペリエンスへの優先度を上げています。CROは、カスタマーエクスペリエンスを重視した管理によって、その優先度を実践に移すことができます。このようにカスタマーエクスペリエンスを最適化することで、新規顧客の獲得、顧客維持率の向上、そして売上増加を促すことができるのです。
強力な組織間連携
組織間の連携はビジネス成功の鍵であり、企業の売上増加を促す要因です。よくあるのは、マーケティング部門と営業部門の連携が挙げられます。それぞれは最善の努力を尽くしているにもかかわらず、連携が課題となっている企業は少なくありません。この2つの部門をうまく連携させることには様々なメリットがありますが、多くの組織では断片的な連携にとどまっています。
これらのメリットが売上増加に直結していることは容易に想像できます。CROがいれば、強力なリーダーとして、各部門を客観的に監督してもらうことができるでしょう。企業が優先すべきは組織全体の足並みを揃えることであり、特定の部門に限られた成功ではありません。トップダウン方式で取り組むことで、協力の文化を築き、課題に対して公平に対処し、常により上位の組織目標を目指せるようになるでしょう。
関係性の管理
前述のテクノロジーの変革、カスタマーエクスペリエンスの最適化、強力な組織間連携を達成するためには、社内外で良好な関係を築き、管理できる人物が必要です。それがCROなのです。
CROに幅広い部門に関する広域なビジネス経験とRevOpsに関する詳しい知識が求められるのには理由があります。外部パートナーも含め、部門横断的に取り組み、売上増加を促す必要があるからです。
CROは、マーケティング、営業、カスタマーサポートなどの部門リーダーと協力し、全部門間の調整を図る役割を担っています。また、サービスプロバイダーと協力し、テクノロジーツールや契約、提携の成否について検討します。
CROがこれらの関係を管理することで、組織全体が「売上増加」という共通の上位目標を目指し、迷いなく取り組めるようになるのです。
変革を推進するCROを採用する
CROを採用することは、会社の未来に投資することです。現状維持しかしない人材は必要ありません。組織を一変させられる人物が求められています。
どうすれば適切なCRO候補を募り、その業務に適した人材を採用することができるのでしょうか。
未来のCROに求めるべき具体的な特徴をご紹介します。
- 部門横断的な経験:
これについては重要なのでもう一度言いたいと思います。CROは、マーケティング、営業、カスタマーサポート、RevOpsなど、監督する各領域での直接的な経験を有している必要があります。
- 強力なリーダーシップ:
CROは組織のリーダーです。リーダーシップの成功には様々なスタイルがありますが、会社の文化に合ったCROを選びたいものです。
- データドリブン:
データドリブンなインサイトは、ビジネスを成功させるための促進力です。CROは、テクノロジーツールを使ってデータにアクセスし、データに基づきスマートな意思決定を下す方法を知っている必要があります。
- 革新的な考え方:
世界はかつてないほど急速に変化しています。企業がこのような中で戦っていくには、俊敏性と革新性が不可欠です。CROは、チャンスを見極め、変化にうまく適応できる革新的な考えを持っている人物である必要があります。
CROが先進的な組織を築く
CROの影響範囲は売上戦略にとどまりません。CROは、未来に向けて組織の連携や協力を確保し、俊敏で、RevOps主導の組織を実現する存在なのです。
CROを採用することは、企業の長期的な成功へ投資することです。
Xactlyは、顧客データを統合するだけでなく、正確なプラン、より強力なインセンティブ、データに基づくインサイトを通じて、営業担当者が自信を持ってパイプラインを進捗することをサポートし、将来的なイノベーションの基盤となる、統合型プラットフォームを提供します。Xactlyの売上戦略の変革サポートの詳細については、「インテリジェントレベニューとは?」をご覧ください。
まとめ
- 最高レベニュー責任者(CRO)とは、企業の売上創出と成長に関わるすべての部門とプロセスを監督する役割である
- CROには、広域にわたる部門横断的な経験とRevOps分野の知識が求められる
- 優れたCROを配備することで、社内の連携強化、カスタマーエクスペリエンスの最適化、ビジネス関係の強化などのメリットがある
- 変革的なCROとは、革新的でデータドリブンなリーダーである