公開日 2023.09.19  更新日 2023.09.19

セールスオペレーションとは?重要なポイント、組織に取り入れる方法

セールスオペレーション(Sales Operations)とは、企業の営業部門の売上見込みを、データを駆使していかに最大限に高めるかというミッションを持ったビジネス機能です。セールスオペレーションにより、営業組織のオペレーションは従来型のサイロ化されたアプローチから刷新され、透明性が高くアジャイルな戦略を実行して成果を挙げられるようになります。

LinkedIn社の調査「The State of Sales Operations Report」によると、セールスオペレーション部門は2020年までの3年間で38%拡大(営業部門全体の伸び率の4.8倍)しており、その後も拡大を続けています。調査回答者の約90%が、変化が止まらないビジネス環境においてセールスオペレーション主導でセールスプランニングを頻繁に行なうことで、営業チームを成功に導きやすくなったと回答しています。

セールスオペレーションが事業の成長に貢献するだけでなく、企業競争を勝ち抜くために重要な役割を果たします。本記事では、セールスオペレーションについて知るべき重要なポイントと、組織に取り入れる方法をご紹介します。続くセクションでは、以下の項目について取り上げていきます。

・セールスオペレーションの定義
・優秀なセールスオペレーションチームの特徴
・セールス&オペレーションプランニング(S&OP)
・セールスオペレーションとレベニューオペレーション(RevOps)の関係

目次

    セールスオペレーションとは?セールスイネーブルメントとの違い

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    セールスオペレーションは、営業活動の成功に関与する人材やプロセス、テクノロジーを包括的に管理するビジネス機能です。その目的は、部門間の摩擦を緩和し、オペレーションを効率化し、営業プロセスを最適化し、営業チームを強化することにあります。そのすべては最終目標である企業の売上拡大に向けられています。

    セールスオペレーションは、効果的な営業活動ができるよう営業担当者を現場でサポートするセールスイネーブルメントと混同されがちですが、その役割は異なります。セールスオペレーションは、営業全体のROIを最大化し、営業の売上成長の予測見込みを引き上げるという、より高次元の戦略に重点を置いています。セールスオペレーションの領域には以下が含まれます。

    • セールスプランニングと売上目標の設定
    • セールスカバレッジとテリトリー管理
    • 報酬管理計画
    • 営業プロセス全体の最適化
    • フォーキャスティング(売上予測)
    • セールステクノロジーの管理
    • 営業担当者のトレーニング
    • データ分析とレポーティング
    • 需要と供給の予測
    • リソースの割当て

    ガートナー社は、セールスオペレーション部門の役割を以下の3つの重要領域に分類しています。

    • レベニュープロセス管理-サイロ化されたワークフローを合理化された部門横断的なワークフローに転換し、レベニュープロセスのサポートを強化
    • データ分析と戦略策定- データガバナンスとデータリテラシーを統括し、使いやすくすることで、ビジネス目標に合致したインサイトを提供
    • テクノロジーの活用-経営陣の目標と優先度に合致したテクノロジーロードマップの作成と実行

    ガートナー社のレポートは、優れたセールスオペレーションによって営業部門だけではなく他部門にもよい効果をもたらすことを明らかにしています。ガートナー社がセールスオペレーション部門を対象に実施した調査では、多くの回答者が、セールスオペレーション部門はマーケティング(57%)、商品(38%)、財務(35%)、カスタマーサービス(34%)といったRevOps関連部門もサポートしていると報告されています。

    優秀なセールスオペレーションチームの特徴とは?

    高いデータリテラシー

    成果を出しているセールスオペレーションチームは完全にデータドリブンです。セールスオペレーション部門のメンバーは、現在の営業パフォーマンスの分析、フォーキャストの作成、営業リソースの割当て、営業テリトリーのプランニング、報酬管理計画などのあらゆる意思決定に、データから導き出されるインサイトを活用しています。ここで注意したいのは、データそのものが重要というわけではないということです。

    データリテラシーとは、データを理解して分析し、解釈する能力のことです。データリテラシーが高いと、データを数字の集合体から実用的なインサイトに転換して戦略を後押しすることができます。 

    セールスオペレーション部門は、営業パフォーマンスデータを評価するためのKPI(重要業績評価指標)を特定した上で、新たなトレンドを見つけ出し、将来の課題を予見し、内部プロセスにおける目標と現実のギャップを比較しながら、ビジネスチャンスに活かす能力を携えなければならないのです。

    コラボレーション文化

    セールスオペレーションはただ営業部門だけをサポートするだけでなく、企業全体の各部門からの主要関係者の積極的な参加を促します。セールスオペレーション部門は、連携することのメリットを示し続けることで、コラボレーション文化を醸成していきます。

    セールスオペレーションが提供するインサイトは、特に継続的なセールス&オペレーションプランニング(詳細は後述)を通じて、他部門を支援します。各部門がそれぞれの戦略を最適化し、コストを削減し、企業全体にもたらす価値を高めるのにも役立ちます。例えば、サプライチェーンマネージャーは製品やサービスの需要予測インサイトを活用して、適切な在庫レベルを計画することができます。

    当事者意識を持つ

    セールスオペレーションがうまく機能している組織では、このコラボレーション文化は各部門が当事者意識を持つという考え方に発展します。つまり、セールスオペレーションが関連することで、あらゆる部門が企業の売上目標に貢献するという、それぞれの責任を自覚するようになるのです。複数のチームがシームレスに連携し、いつでも必要なときに部門横断的なサポートを提供します。

    このような社内調和を実現するために、経営陣はトップダウンで各部門に横串を通し、企業全体に共通の目標を示すことが求められます。

    テクノロジーの活用

    テクノロジーツールのサポートがなくては、競争の激しい今日のビジネス環境に迅速に対応することはできません。セールス&オペレーションソフトウェアは、セールスプランニングやフォーキャストモデリング、データの動的ダッシュボード、AI主導型分析などの機能を強化します。

    さらに、CRMやERPシステムなどの重要なソフトウェアツールも統合して、セールスプランニングと意思決定をサポートするためのテクノロジーの全体像を示します。

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    セールス&オペレーションプランニング(S&OP)とは?

    セールス&オペレーションプランニング(S&OP)は、セールスオペレーション戦略を実行するうえで重要で、過去の実績データ、製品需要、サプライチェーン、売上予測など、営業活動にとって重要なデータポイントを評価するプロセスです。営業パイプライン全体を連携させる部門横断的なプロセスのため、効果的に実行できれば、営業の売上管理にRevOpsのアプローチを取り入れることができます。

    S&OPのプロセスは、アジャイルで即応性のあるデータドリブンの組織を作り上げるために、通常月次で実施されます。これは、現在の変化の激しい、往々にして予測不能なビジネス環境を乗り切るために必要です。

    S&OPのプロセスはセールスオペレーション部門が主導するものですが、成功させるためには社内の他部門のチームを巻き込む必要があります。通常は、サプライチェーン、製品開発、マーケティング、財務、カスタマーサクセス部門が関わりますが、それ以外の部門も関わることがあります。

    S&OPの成功に最も重要なことは、適切なテクノロジーツールを利用した集中型のデータ戦略です。ツールを統合して、企業全体のあらゆる部門がインサイトを得られるようなデータのSSOT(Single Source of Truth: 信頼できる唯一の情報源)を提供しなければ、現在と将来の売上シナリオについて統一されたビジョンをつくることはできません。

    S&OPを実行するには?

    データ収集

    S&OPプロセスの最初のステップは、あらゆる関連データを集めることです。これには、過去の営業実績データ、今後のフォーキャスティングデータ、市場トレンドの分析データ、競争力のあるインテリジェンスデータなどが含まれます。セールス&オペレーションプランニングソフトウェアは、非常に強力なツールとして、このステップを自動化し、断続的なタスクではなく継続的な追跡プロセスに転換できます。

    データ収集フェーズでは、営業パフォーマンスの予想外の急激な落ち込みや製品需要の急増といった、関連性のある突出したデータポイントを検知します。これらのインサイトを特定できたら、次回のS&OPミーティングで参照できるようれポーティングもします。

    この時、プランニングに使用するデータの検証にも時間をかけましょう。フォーキャストの精度をチェックし、データが最新であることを確認して、必要な場合は手作業で更新します。

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    需要と供給の評価

    次のステップは、需要と供給の評価です。S&OPでは最初に需要計画を立てます。過去の営業データや現在のフォーキャスに加え、他の関連チーム、たとえばマーケティング部門からのリードジェネレーション(見込み客の創出)や、製品チームから新製品のリリース情報などのインサイトを使えば、翌月の需要レベルを予測できます。

    これらの需要予測は、在庫レベル、生産能力、サプライチェーンのスケジューリングなどを評価する供給計画に転換できます。このステップには、サプライチェーンや製品チームからの情報が必要になるため、連携を続けていくにはプロセスを正式な手続きにするとよいでしょう。

    パフォーマンス指標のレビュー

    データ収集プロセスの過程で、最重要なインサイトデータを把握できます。次に、主要KPIや他の営業指標に対する進捗状況を分析するためのパフォーマンス指標を深く掘り下げていきます。

    S&OPプロセスは通常月次で行う分、長期的な進捗状況を追跡できる機会であり、セールスオペレーションチームが継続的にパフォーマンスを最適化する方法のひとつになります。S&OPで使用するKPIを特定し、S&OP関連のデータ分析を行なうときはいつも同じ指標を追跡するようにします。

    月次のS&OPミーティングを開催

    月次で開催されるS&OPミーティングでは、計画について議論し、進捗を評価し、課題に対処し、今後とるべき行動を決定します。このミーティングには、セールスオペレーション部門の主要メンバーと、S&OPに貢献する関係者が参加します。主にマーケティング、財務、オペレーションなどの代表者が含まれますが、関連して貢献度の高い社内関係者であれば誰でもメンバーに加えられます。

    S&OPミーティングを効果的にするには、関係者の出席を義務付ける必要があります。もし参加できない人がいた場合は、代理人が代わりに出席します。ミーティングの価値を最大限に高めるには、以下のような方法が考えられます。

    • 説得力を持ち、視覚に訴えるデータを準備-KPIのベンチマークレポート、需要計画と供給計画、フォーキャスティング、そのほか特定された重要なデータポイントなど。
    • アジェンダの設定-時系列のアプローチをとることが効果的です。前月のパフォーマンスデータを振り返り、いまの課題とニーズを議論したあとで、今後のフォーキャストを評価して適切な計画を立てます。
    • アクションプラン(行動計画)の明文化-重要なアクションが抜け落ちないようにしてください。そのためには、ミーティング中にアクションアイテム(実施要項)を記録し、責任者を特定し、期限を設定します。
    • 会議の要約を送付-重要な論点やアクションアイテムを記載した会議の要約を送付すれば、全員の認識を一致させることができます。

    アクションプランの実行と報告

    最後に、アクションプランは次回のS&OPミーティング(または決定された期限)までに実行されなければなりません。アクションアイテムの完了を記録できるような報告プロセスを整え、S&OPチーム全員が進捗情報を一目で確認できるようにします。

    セールスオペレーションのメリットとは?

    チームの連携

    セールスオペレーションは、営業活動の成功に関わるすべてのチームの連携を促します。以下のように、さまざまな方法で連携が進みます。

    • マーケティング、営業、カスタマーサクセスの各チームが連携してパイプライン管理を行なう
    • 製品、営業、オペレーション、サプライチェーンの各チームが貢献し、需要計画・供給計画とリソース配分を行なう
    • 財務チームと連携して、フォーキャスティング、営業パフォーマンスの評価、売上成長予測を行なう

    うまく連携している複数のチームがともに働く意欲を持ち、目的を共有している企業は、状況の変化に適応して課題に対処し、新たな機会が生まれればその機会を逃しません。

    コスト削減

    セールスオペレーション、特にS&OPにより、企業は、最適化したプロセスによるコスト削減と大幅な効率化を実現しながら、正確なリソースプランニングとリソース配分を実行できるようになります。セールスオペレーションに関するデータを使用すれば、企業は正確に経費を特定することができ(例えば、新たに雇用すべき新人の営業担当者数や、発注在庫数など)、過剰な支出を避け、優先度の高い戦略に資金を割当てることができます。

    最大限のリソース活用

    セールスオペレーションにより、営業活動の成功に関わるすべてのリソース(人材、プロセス、テクノロジー)を最大限に活用することができます。これらの資源が確実に割当てられるようにするだけではなく、利用できるすべてのリソースから可能な限り最高のROIを獲得することを目指します。

    いくつかの例をご紹介しましょう。

    • セールストレーニングとセールスイネーブルメントによって、すべての営業担当者が継続的に目標を達成できるようサポートする。
    • 精度の高い営業データ分析によって、正確なフォーキャスティングができるようになる。
    • 統合されたテクノロジーツールが、セールスオペレーションチームにSSOT(Single Source of Truth:信頼できる唯一の情報源)を提供する。
    • 常にプロセスを改善し続けることで、より高いレベルの効率化を推進する。

    適応力の向上

    高いレベルで可視化されたデータと、整合性のとれたチーム、月次のS&OPに支えられたセールスオペレーションによって組織の適用力が増し、変化する市場環境をうまく乗り切れるようになります。企業が潜在的な課題を事前に見通し、将来シナリオを正確に予測することができれば、あらかじめ準備を整えて、悪影響が発生する前に即座に修正できるようになるでしょう。

    セールスオペレーションとRevOpsの関係

    セールスオペレーションは、企業全体の売上成長を最大化することを重視した戦略であるレベニューオペレーション(RevOps)をしっかりと支えます。RevOpsを熟知していれば、コラボレーション文化やデータドリブンのアプローチ、リソースとしてのテクノロジーなど、セールスオペレーションとRevOpsの基本原則が共通していることに気付くのではないでしょうか。

    RevOpsモデルにおいて、セールスオペレーションチームは企業の全体的な売上戦略を監督する最高レベニュー責任者(CROの直属に置かれるのが一般的です。多くの企業にとって、最大の収益源である営業部門の売上を強力なセールスオペレーション戦略によって最大化することは、売上成長を促す極めて効果的な方法なのです。

    Xactlyができること

    Xactlyは、営業フォーキャストのモデリング、リアルタイムの動的ダッシュボード、ワークフローとマルチユーザー編集、AIによる予測分析などの重要な機能を提供し、最適なキャパシティや営業目標の設定をサポートします。

    何よりも数字が実績を証明します。Xactlyのソフトウェアを活用することで、お客様は営業収益性や営業生産性の向上を実現し、その管理にかかるコスト削減も実現しております。

    Xactlyができることの詳細については、こちらからもご覧ください。

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    まとめ

    以上、セールスオペレーションの詳細について述べてきました。最後にポイントを要約します。

    • セールスオペレーションは、営業活動の成功可能性を最大限に高めるために、人材やプロセス、テクノロジーリソースを連携させながら最適化する部門横断的な役割を担う。
    • ガートナー社の調査によると、多くの企業では、セールスオペレーションチームはマーケティングや財務など営業以外の複数部門をサポートしている。
    • 優れたセールスオペレーション戦略には、高いデータリテラシー、コラボレーション文化、目標に対して当事者意識を持つこと、テクノロジーツの活用といった特徴がある。
    • セールス&オペレーションプランニング(S&OP)とは、最適化された営業実行計画を維持していくために重要な営業データを評価する月次のプロセスでである。
    • セールス&オペレーションプランニングソフトウェアのようなテクノロジーツールは、セールスオペレーション関連のデータ分析機能を自動化し、拡張するために不可欠である。
    • セールスオペレーションは、包括的な売上成長戦略を重視するレベニューオペレーション(RevOps)をしっかりと支える。
    • Xactlyのツールでは、営業フォーキャストのモデリング、リアルタイムの動的ダッシュボード、ワークフローAIによる予測分析などの重要な機能を提供し、セールスオペレーションの実行を支える。

    セールスオペレーションを組織にどのように取り入れられるか、それを支えるテクノロジーについての相談がある場合は、ぜひXactlyまでお問い合わせください!

    執筆者

    松波 孝治 Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    松波 孝治 | Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    Xactly日本法人のマーケティングを全体統括。大学卒業後、一環して外資系IT企業にて、マーケティングはもとより、コンサルタント、経営企画などにも従事。

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