統合ビジネスプランニング(Integrated Business Planning)とは?
統合ビジネスプランニング(IBP)とは、バリューチェーン全体に渡って、戦略とデータを統合し、全社的なパフォーマンスを最大化させるプロセスです。各種オペレーション部門、財務部門、ビジネス戦略部門を横断する組織的なプランニングであり、長期的な視点で経営にとって重要なKPIを改善することができます。
IBPは、従来のセールスプランニング(営業計画)の延長と考えられています。プロセスを簡素化する、規律を重視する、分析的アプローチを採用するなど、従来までの原則を取り入れているからです。セールスプランニングそのものは、真のIBPを実現するために必要な前段階の1つです。
IBPは、組織全体に影響する経営手法のひとつであり、企業の事業展開や収益獲得の状況を隅々まで可視化します。データアナリティクスと高度なビジネステクノロジーツールを利用して、一元的な信頼できる唯一の情報源(Single Source of Truth)を確立し、高度な可視性と透明性を確保するほか、責任の所在を明らかにします。
最終的には、IBPによって、柔軟があって、アジリティが高く、能動的で、データ主導の組織が築き上げられます。以降では、IBPによって実現される主な5つのメリットを見ていきましょう。
統合ビジネスプランニングのメリット
アライメントの向上
IBPにより、各種コアチームとビジネス機能の全体的なアライメント(整合性)が強化されます。このようなアライメントは、経営陣が協力して戦略や目標を定めることで実現します。また、組織内のあらゆるデータを可視化できるようになるため、より大きなビジネス目標に対する各部門の貢献度を様々な側面から詳しく把握できるようになります。
一元的な可視性
IBPにおける一元的な可視性とは、信頼できる唯一の情報源、つまり組織内の全従業員が閲覧できる一元的なプラットフォームやダッシュボードにデータが集約される状態を意味します。一元的な可視性によって、特定の領域における意思決定が他の領域に及ぼす影響を理解したうえで、より適切な意思決定を下すことが可能になります。また、潜在的な問題をより詳しく洞察できるようになるため、全体的に各部門の責任がより明確になります。
リアルタイムの意思決定
効果的なIBPによってリアルタイムのデータインサイトが実現すれば、いくつかの重要な経営能力が強化されることになります。より正確なリソースのプランニングや割り当てができ、必要に応じたリソースの調整が容易になるのです。財務部門は、リアルタイムのインサイトに基づき、より正確で適応力の高い業績予測(フォーキャスト)を立てられるようになるため、他の部門は、より適切な予算編成と支出戦略に基づく計画を立てることが可能になります。
イノベーションの文化
IBPは、全組織的にイノベーションの文化を構築しようとするリーダーをサポートします。変化の激しい今日のビジネス情勢下で競争力を維持するためには、イノベーションの文化が不可欠です。IBPが実現されていれば、従業員はイノベーションを起こすことができます。与えられた目標達成に邁進するだけでなく、新たな成長機会を見定め、解決すべき問題を特定できるようになります。
また、IBPによって共通の目標に向けて取り組むことが可能になるため、イノベーションの鍵となるコラボレーションも促されます。今日、マーケットをリードするCEOの約60%が、単に漸進的な進歩を追求するだけでなく、真の破壊的なイノベーションを目指しています。IBPによって、その可能性が解き放たれるかもしれません。
高度なアナリティクス
IBPによって、エンドツーエンドの企業データが集約されることになります。データが集約されれば、従来の手法やマニュアルの手段では不可能なレベルのアナリティクスが実現され、より多くの要因を加味した分析を行えるようになります。IBPは、データ分析結果を実用的なインサイトに変換するAIと機械学習機能を搭載したテクノロジーツールに支えられているのです。
IBPを成功させるための5つの方法
経営陣のコミットを得る
IBPは、組織の最上層部から始まります。IBPを成功させるためには、IBP戦略の策定時だけでなく、戦略の実施後にも、明確で効果的なガバナンスが欠かせません。企業経営陣(CEO、COO、CFO、CIOを含む)がコミットし、それに献身的に取り組むことが重要になります。
戦略を文書化する
IBPの性質上、この経営手法には様々な可変的要素(人材、製品、テクノロジーリソースなど)が絡んできます。そのため、ベストプラクティスとして、実行手順を全て明確化した計画書を作成することを推奨します。このような計画書があると、全従業員の責任が常に明確になるだけでなく、共通の計画書の存在が一体感を促し、成功に向けて関係者全員が一丸となって取り組めるようになるのです。
明確な目標を設定する
IBPでは、経営に重要なKPIに大きく注目します。もちろん、部門ごとにKPIは異なります。例えば、営業部門にとってはセールスサイクルの長さがKPIのひとつになりますが、製品開発部門にとっては市場投入までの時間をいかに縮められるかがKPIになります。複数の部門にとって重要であり、各部門が達成に向けて独自の役割を担うKPI(売上高など)もあるでしょう。
部門ごとの目標に加え、企業の目標を設定することで、より大きな目標を念頭に置きつつ、その目標の達成に向けてクリアしなければならない各種KPIを明確にしておくことができます。
適切なチームを結成する
IBPを成功させるためには、IBPを推進する人材が適切なスキルと経験を備えていなければなりません。社内から適切な人材を探すだけでなく、必要に応じて適切な人材を外部から新たに採用するなど、意識的にチームを結成し、IBP戦略を確実に統率、そして実行してください。
適切なテクノロジーツールを選択する
IBP戦略を大規模に実施するためには、テクノロジーが不可欠です。適切なソフトウェアプラットフォームを利用すれば、データを一元化するだけでなく、他のシステムを統合し、レガシーデータを移行し、必要とされる一元的な可視性を実現することができます。つまり、組織に最適なIBP機能搭載のテクノロジーツールを評価し、選択することが重要になります。
IBPの要諦としてのレベニューオペレーション(RevOps)
前述のように、セールスプランニングは、IBPの重要な前段階と考えられています。それでは、レベニュー オペレーション(RevOps)はどうでしょうか。結局のところ、財務はIBPに包含される要素の1つであり、レベニュー(売上)は最も重要なKPIの1つです。
強力なRevOps基盤があれば、財務部門や経営リーダー陣は、継続的に新たなIBP戦略に大きく貢献できるようになります。
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まとめ
- 統合ビジネスプランニング(IBP)は、各種オペレーション部門、財務部門、ビジネス戦略部門のデータと戦略を連結する
- IBPは、従来の営業計画を基盤とする
- IBPには、アライメントの向上、一元的な可視性、リアルタイムの意思決定などのメリットがある
- IBPを実現するには、経営幹部の承認と献身的な取り組み、RevOpsプラットフォームが必要である
- IBPの成功には、適切なチームとテクノロジーを選ぶことが不可欠である