公開日 2023.02.16  更新日 2023.09.01

セールスイネーブルメントとは?期待できる効果と実行する7つのポイントを解説

日本能率協会が発表している「日本企業の経営課題」において、「収益性向上」が、長年にわたり一番の経営課題となっています。企業の収益獲得に最も直に関わるのは「営業」であり、その営業力の強化が欠かせない取り組みとなっています。

営業力の強化においては、「セールスイネーブルメント」という概念を押さえつつ取り組むことが効果的です。ここでは、セールスイネーブルメントの概念や重要性、セールスイネーブルメントを実行するポイントを解説します。

目次

    セールスイネーブルメントとは

    セールスイネーブルメントとは、営業活動の成果を出し続けることを目的とした、営業力強化の包括的な取り組みを指す概念です。より具体化すると、組織として、販売を効率的かつ効果的に達成していくために必要なリソース、知識やノウハウ、そして必要なITツールを営業担当者に提供することを意味します。アウトプットとしては、営業担当者がガイダンスとして参照したり、顧客へ説明や提案したりできるように、営業活動全体の流れの中で活用できるコンテンツとして提供されます。

    セールスイネーブルメントが注目される背景

    セールスイネーブルメントがなぜ注目されているのか、その背景とセールスイネーブルメントが重要とされる主な理由として以下の3つが挙げられます。

    営業活動の標準化

    営業担当者が個々の手法で営業をおこなっており営業の質にばらつきが生まれる、営業情報が共有されておらず不透明な状態になっている、といった企業も多いのではないでしょうか。セールスイネーブルメントをおこなうことで、すべての営業担当者が営業活動に一貫性を持って対応でき、営業の質の標準化/均質化が期待できます。それにより、企業としての方向性と営業担当者の方向性の食い違いを防ぐことができたり、営業の管理も行いやすくなります。

    営業のレディネス

    「レディネス(Readiness)」とは「準備」を意味する英語であり、営業担当者が顧客対応をする準備ができている状態なのかをここでは指しています。もし営業担当者が自社商材(製品やサービス)への理解が深くなければ、顧客に十分な提案はできません。また、それ以前に、顧客が何に困っているのか、何を解決したいのかというポイントもうまく抑えることができないでしょう。

    今、ほとんどの顧客はインターネットなどさまざまな情報源から事前に情報を得ています。30年前の営業とは異なり、営業担当者はもはや自社の製品・サービス、および価格について、唯一の情報提供者ではありません。営業担当者が提供内容について十分な知識を持って話す準備ができていない場合、顧客を失ってしまうリスクがあります。顧客に対して、営業担当者はしっかり準備された状態で応対するべく、レディネスを高めるためにもセールスイネーブルメントが重要なのです。

    収益向上

    セールスイネーブルメントによって、営業組織におけるプロセスや取り組みの標準化ができ、営業担当者のレベルの底上げができるので、適切な営業管理のもと、営業ひとりひとりがパフォーマンスを最大化することで、収益の向上につながります。優れた成果をあげた営業担当者のノウハウを組織に共有していく文化ができれば、さらなる成果アップにつながる良い内部サイクルを実現することもできるでしょう。

    セールスイネーブルメントを実行する7つのポイント

    セールスイネーブルメントのメリットを享受するために、以下の7つのポイントを意識して実行することが重要です。

    価値の高いコンテンツを作成する

    顧客が購入の意思決定をするまでには平均して3つ以上のコンテンツを見ており、営業担当者とやり取りをしている間にも他のコンテンツを探しているといわれています。コンテンツは、見込み客の獲得と育成、成約後の顧客となった後でも顧客維持に必要不可欠なものです。決して手を抜かず、顧客の問題に対して適切な解決策を提案できる、価値の高いコンテンツを作成しましょう。

    営業担当者の育成プログラム開発とトレーニングを実施する

    営業担当者の育成において社内でのトレーニングをおこなわず、実践主義となっている企業も多いのではないでしょうか。しかし、営業担当者のスキルアップのためには適切な育成プログラム開発とトレーニングは欠かせないものです。継続的に営業担当者を育成できるプログラムを開発し、トレーニングをおこないましょう。社内メールや社内SNSなど、営業担当者が日常的に目を通す場所でトレーニングの追加情報やサポートを行うようにするとより効果的です。

    顧客エクスペリエンス(CX)に焦点を当てる

    営業担当者が使用している営業資料について、顧客はどのように感じているでしょうか?
    これはセールスイネーブルメントに取り組む上で最初に尋ねるべき最も重要な質問の一つです。
    顧客の多くは、インターネット等ですでに情報を得た上で、打ち合わせなどの販売のやり取りに辿り着くので、その後に得られる体験(エクスペリエンス)にも高い期待を寄せています。販促として作成するコンテンツが、この体験に積極的に貢献するように設計および開発する必要があります。また、この「顧客エクスペリエンスに焦点を当てる」というのは、単にコンテンツの品質のみに関することではありません。顧客に対してコンテンツを届ける方法やタイミングなど、さまざまな観点で顧客視点に立ったコンテンツ提供ができているかを考える必要もあります。

    営業プロセスとパイプライン管理の手法を定義する

    どのような企業であれ、製品・サービスの購入に至るまでには、一連の流れが存在します。顧客視点では、カスタマージャーニーとも言われますが、その購入に至るまでの流れをステップに分けて分解し、各ステップにおいて達成すべきことを定めていくのが営業プロセスの定義です。そして、営業視点では、商談が成約に至るまでの流れをパイプラインに見立て、その成約に至る過程の各ステップでどのような基準で何を評価するのかを定めるのをパイプライン管理といいます。営業担当者ごと、また営業マネージャーごとに、属人的な営業活動や営業管理をしないように、企業ごとの製品・サービスにあわせて、営業プロセス、パイプライン管理の手法を定義します。営業プロセス、パイプライン管理の詳細については、以下からご確認ください。

    >営業プロセスとは?可視化するメリットや管理のポイントを解説 

    >営業のパイプライン管理とは?必要な理由と具体的な手法

    KPIの特定と測定・検証をおこなう

    セールスイネーブルメントの取り組みが成功したかを判断するために、KPIを設定して効果の測定・検証をおこないましょう。セールスイネーブルメントにおけるKPIとしては以下のような項目が挙げられます。

    • リードから商談へのコンバージョン率
    • 成約率
    • 販売サイクルの長さ
    • 平均取引規模
    • ノルマを達成した担当者数

    継続的な改善をおこなう

    セールスイネーブルメントの取り組みに絶対的な正解はありません。商材や顧客層などさまざまな要素によって効果的な施策は異なります。取り組みを始めたら適宜振り返りをおこない、継続的な改善に取り組みましょう。改善の際のポイントとしては、以下の2つの情報ソースを重視しましょう。

    1. 営業担当者のフィードバック

    営業担当者は現場の視点を持っています。販促資料に対して、見込み客や実際の顧客がどのような反応をしているのかフィードバックを得ます。

    1. データ

    先で触れたKPIは定量的に成果を可視化します。ここから得られたデータをもとに何が機能していて、何が機能していないかをデータドリブンな知見を得ます。

     

    ツールを活用する

    セールスイネーブルメントの取り組みによって、営業プロセスが定義され、パイプライン管理が標準化され、設定したKPIに基づき、営業活動の評価が行えるようになります。この一連の取り組みは、体系化されデータドリブンで行われるので、マニュアルで行っていたり、従来型のエクセルのようなツールで行っているのでは、限界を迎えます。SFAツールの導入はその第一歩になります。SFAにより、顧客データや営業活動のログデータを保持する素地が出来上がります。ただ、そのデータを活かし、営業パフォーマンスや収益性を向上させるためにインサイトを得て、より高次の営業管理を実現するためには、SFAに加えて、専用のマネジメントツールの導入が非常に有効です。

    セールスイネーブルメントにXactly Forecastingを!

    セールスイネーブルメントの取り組みを進めていくと、営業の管理はデータドリブンになっていきます。先述のように、そのデータ管理の土台はSFAツールになりますが、そこから一歩先の営業パフォーマンスを最大化するためには、専用ツールとしてXactly Forecastingをご検討ください。

    Xactly ForecastingをSFAと組み合わせて使うことで、パイプライン管理を適正化し、AIによる売上予測や商談の360度評価が行え、目標達成が可能なのか、目標達成に向けて何が課題になっているのかを容易に把握できるようになります。さらに、Xactly Forecastingには営業コーチングの機能も備わっているため、営業担当者のオンザジョブトレーニングにも大きな効果が得られるでしょう。

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    まとめ

    セールスイネーブルメントの概念は包括的であるため、適切な取り組みを行わなければ一貫性を持った改善とならず、結果として効果が得られない可能性が高くなります。

    この記事で解説したポイントを押さえながら、セールスイネーブルメントによるメリットを最大限に得られるよう取り組みましょう。

     

    執筆者

    松波 孝治 Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    松波 孝治 | Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    Xactly日本法人のマーケティングを全体統括。大学卒業後、一環して外資系IT企業にて、マーケティングはもとより、コンサルタント、経営企画などにも従事。