課題:上振れも下振れも許されない。フォーキャスト精度向上が課題
ベルフェイス株式会社は、独自の電話面談システム「bellFace」の開発と販売を手掛けています。電話によるコミュニケーションを前提としたリモート面談の仕組みは特にBtoCの領域で高く評価され、中でも金融業界において普及が進んでいます。銀行・証券業界のリテール営業分野のリモート商談ツールとして70%のシェアを誇る同社が、その主要顧客として金融業界に目を向けたのはそれほど前のことではありませんでした。事業戦略本部長の岩田 恭行 氏はこう振り返ります。
「コロナ禍でWeb会議ツールが台頭する中で、電話を軸にした当社のサービスは苦戦を強いられましたが、電話でのやり取りが多い金融機関の個人営業の現場から多く受け入れられました。顧客の電話番号しか知らなくてもビデオ会議に招待できる仕組みや、契約から約定まで完結できる独自の機能も弾みになりました」
コロナ禍で一時的な危機に見舞われた同社でしたが、今は業績もV字回復しています。
事業が軌道に乗る中、新たな経営課題として浮上したのが、いかにフォーキャストの精度をあげるのかということと、いかに収益性をあげていくかということでした。
「2015年創業の当社ですが、既に出口戦略を考えるフェーズにあります。こうした中、経営から強く求められるようになったのが、より正確なフォーキャスティング(売上予測)でした。予測に対する売上の着地が下振れするのはもってのほかですが、上振れに対しても新規開発や新規人材獲得への投資の遅れに直結するだけに、上にも下にもブレない予測が求められます。また、株式市場において企業の評価が成長から収益性にシフトする潮流もあり、特に売上を稼ぐ営業の生産性が強く問われます。実際に第三者から当社の営業生産性を精査してもらったところ、ベンチマークした企業と比べたら低いことも明らかになっていました」(岩田氏)
解決の方向性:「標準化」と「可視化」に取り組む
この二つの課題解決において岩田氏が注目したのは、「標準化」と「可視化」でした。
「売上フォーキャストは営業マネージャーごとの経験や勘に基づいて属人化しており、このやり方で精度を高めるのは難しいと判断しました。商談を客観的に評価し、共通のものさしで予測するといったモデルが必要でした」(岩田氏)
そこで同社は、営業の成功体験をヒアリングしてまとめ、営業プロセスを高い水準で標準化した「営業プレイブック」をまとめました。そこには「他社製品と差別化できているか」「商談に役職者が何名参加しているか」など多くのチェック項目がまとめられています。それは全営業担当者に周知徹底され、以前から営業活動のデータ基盤として利用してきたSalesforceにその活動を記録する方針も整えられました。
次の課題は、こうしたデータをどのようにインサイトある形で効率的に可視化していくかということでした。
「多様な営業データを格納できるSalesforceはとても優れたツールですが、データをビジネスに活用するにはひと工夫が必要です。結局、フォーキャストが改善したのか、後退したのかを集計して可視化することが困難で、結果的にデータをCSVにエクスポートして、別途スプレッドシートで作業して管理するという二重体制が発生していました。BIツールとの連携によって可視化していくことも当初考えていましたが、その開発・設定工数を見積もって難儀していたところ、Xactly Forecastingの紹介を受け、これこそ私たちが求めていたものだと確信しました」(岩田氏)
ソリューション:UI/UXが決め手に。導入は1ヶ月半で完了
Xactly Forecastingで岩田氏が特に評価したのは、営業活動のベストプラクティスが反映されたUIと機能を持っている点でした。
「当社は営業プレイブックを策定したこともあり、営業プロセスの各ステージで抑えるべきKPIやフォーキャスト管理で可視化したいダッシュボードのイメージは元々持っていました。その中で、最初にXactly Forecastingのデモを見た際、求めていたものがそのまま反映されているツールだと驚嘆したのを覚えています。フォーキャストの精度を高め、営業計画を効率的に達成することにフォーカスした設計コンセプトがユニークだと思います。またUI/UXの観点からは、商談スコアの可視化や、前期間からのUP/DOWN表現など、ユーザが直感的に良し悪しを感じられる設計を評価しました。Xactly側からもSalesforceレコードの値を変更できる相互性など、メインのフォーキャスト管理以外の部分でもユーザーのエンゲージメントを高められる操作感があると実感できた点は大きかったです」(岩田氏)
こうしてXactly Forecastingの採用を決定した同社ですが、その導入はスムーズに進んだのでしょうか。
事業戦略本部 ビジネスプラットフォームチーム リーダーの浅野 裕亮 氏はこう説明します。
「Xactly導入前に利用していたスプレッドシートは、複雑な関数を利用してSalesforceデータを加工しており、同様の数値・見せ方ができるのか?という不安が当初ありました。ですが、Salesforce連携が標準で利用できAPI開発なしで実現できたこと、またAmazon S3との連携により、Salesforceから加工して利用していたデータなどもそのままXactlyにアップデートでき、工数も削減できました。Xactlyの導入サポートの方々にも、技術的な支援に留まらず、プロジェクト全体進行を適宜すり合わせながら進められた点も非常に良かったです。結果として、採用決定から約1ヶ月半でサービスインでき、立ち上がりの速さは抜群なツールだと感じています」
成果:工数と会議時間を大幅削減。フォーキャスト精度も向上
Xactly Forecastingの導入効果としてまず挙げられるのは、工数削減や営業会議の短縮化の貢献です。
「スプレッドシートでの管理から解放され、営業管理側で費やしていたデータ整備の手間がゼロになりました。また営業マネージャー側もスプレッドシートへの二重入力や整合性確認など、全体で毎月40時間の工数削減が実現できています。営業会議については、以前はビジネス部門のトップと各営業マネージャーの週次会議が1時間以上はかかっていましたが、XactlyForecasting導入によって先週比をその場ですぐ確認できるよ
うな可視性が格段に増したことで、今では15分で済むようになっています」(岩田氏)
また、営業担当のスキル向上も実感していると浅野氏は述べています。
「Xactly Forecastingでは、定義した営業プロセス上のKPI/チェックポイントの達成度合いによって発出されるアラート機能や、客観指標で計算される商談スコアなどによって、商談を進めながらコーチングや示唆を得られます。営業担当はXactly Forecastingによって自然とベストプラクティスが身につけられることや、セルフマネジメント能力を養えることもメリットと感じています」
そして、フォーキャストの精度向上も大きな成果です。
「以前の営業マネージャーの判断に頼るほかない状況から、統一基準で客観的に見れる商談スコアを利用できる環境へ移行したことで、パイプライン管理が充実し、フォーキャスト精度は確実に向上しています。また当社は、コロナ禍のビジネス環境の変化により営業チームのスリム化を図りましたが、それにも関わらず以前と同水準の業績を維持できている背景に、Xactly Forecastingの存在があることは間違いないはずです」(岩田氏)
同社が次のステップとして見据えるのが、フォーキャストの完全な自動化です。
「XactlyのAI予測なども活用しながら、さらにフォーキャストの精度を高めつつ、健全なパイプラインの維持もXactlyを利用して実現したいと考えています」(岩田氏)
Xactlyは営業DXの基盤としてこれからも同社に大きな役割を果たすことが期待されています。