営業目標とは
営業目標とは、営業活動の目的を達成するために設定するある期間で到達すべき成約数や売上金額などの数値を指します。企業では、事業計画において見込まれる売上や利益を算出しますが、そこから逆算して1年、四半期、月などの単位で達成すべき数値を設定したものが営業目標にあたります。
企業全体の目標だけではチームや個人がどれだけの成果を上げればいいのかわかりませんし、長期的な目標だけでは毎月、毎日どれだけの行動が必要になるのか判断しにくくなります。企業としての目標達成に向け、達成すべき数値を具体化かつ細分化したものが営業目標となります。
営業目標を立てる目的・メリット
では、なぜ営業目標を立てる必要があるのでしょうか。その目的とメリットについて解説します。
それぞれの役割を明確にできる
企業では複数の組織やメンバーが活動しており、それぞれが企業の目的達成に向けた役割を担っています。営業においても、組織として各メンバーの役割や責任範囲があり、それを明確化することが組織全体の円滑な活動につながります。営業目標を立て、各メンバーが達成すべき数値目標が明確になれば、それぞれの役割と責任範囲が定まり、連携の強化と成果の最大化を図れるようになるでしょう。
生産性を向上できる
営業目標が設定されていないと、各メンバーが自分の目標を考えるところから始めなければならず、組織と個人の目標の方向性が違っている場合には都度修正が必要になり非常に非効率です。あらかじめ営業目標を設定し、各メンバーが何をすべきか明確になっていれば、後は目標達成に向けて行動するだけのため、効率的に行動できるようになります。自分の目標達成に集中できれば、生産性の向上にも期待できるでしょう。
モチベーションアップになる
ゴールがわからないまま走り続けるのは苦痛ですし、途中で挫折してしまう可能性も高まります。しかし、ゴールが明確であれば達成したいという意欲が生まれますし、挫折する可能性も低くなります。また、困難な目標を達成した際には自信とモチベーションアップにつながります。
営業目標設定に効果的な「SMARTの法則」
営業目標設定における効果的な手法に「SMARTの法則」があります。
SMARTの法則は、コンサルタントであるジョージ・T・ドラン氏が提唱した手法で、Specific(明確性)、Measurable(計量性)、Achievable(達成可能性)、Relevant(関連性)、Time‐bound(期限設定)の頭文字を取って名付けられました。効果的な営業目標を設定するために、SMARTの法則のそれぞれの要素を押さえておきましょう。
S:Specific(明確性)
Specific(明確性)とは、目標および目標達成に向けた行動が明確であるかどうかということです。
例えば「成約率を向上する」という目標設定では、どのように成約率を向上させれば良いかが不明瞭です。一方「テストクロージングを導入し成約率を向上する」という目標であれば、さらにタスクを細分化させていく必要はあるものの、成約率を向上させるための施策は明確です。
このように、目標と目標達成に向けた行動が明確になる目標を設定します。
M:Measurable(計量性)
Measurable(計量性)とは、目標を数値として計量し、達成度合いを判別できるかどうかということです。
例えば「テストクロージングを導入し成約率を5%向上する」「月あたりのメール営業件数を10件増やす」のように、成果や行動量を数値化して目標設定します。目標が数値化されていれば、目標を達成できなくても達成度合いを評価できますし、改善点の分析にもつながります。数値があれば目標が具体化されやすいため、数値を用いた目標設定を意識付けしましょう。
ただし、すべての目標が数値に落とし込めるわけではないため、数値化できないものを無理に数値化する必要はありません。
A:Achievable(達成可能性)
Achievable(達成可能性)とは、目標が現実的に達成可能かどうかということです。
例えば、現状のアポイント数が月10件なのに対し「アポイント数を月100件取る」という目標を立てるのは現実的ではありません。実現不可能な目標はモチベーションダウンにつながり悪影響です。目標の根拠を示したうえで、現実的に達成可能な目標を設定するようにしましょう。
R:Relevant(関連性)
Relevant(関連性)は、営業目標と企業の方針に関連性があるかどうかということです。
例えば、企業としては新商品の売上を増やす方針にも関わらず、それを差し置いて旧商品の売上を増やそうとするのは、企業の方針に即していません。必ずしも企業の方針に即した目標だけを設定する必要はありませんが、上司ともよく相談して目標を設定することが重要です。
T:Time‐bound(期限設定)
Time‐bound(期限設定)とは、目標達成の期限が適切であるかどうかということです。
例えば、1ヵ月で達成できる目標の期限を1年で設定してしまうと、タスクがずるずると後回しになり、達成に対するモチベーションも低下します。目標を設定する際には根拠に基づく適切な期限を設定し、期限から逆算してタスクに落とし込んでいくと良いでしょう。
営業目標を立てるポイント
ご紹介したSMARTの法則を踏まえ、営業目標を立てる際に押さえるべきポイントを解説します。
具体的な行動目標の数値を設定する
営業目標達成のためには、達成に向けた行動目標を具体的な数値で設定することが重要です。具体的な行動目標の数値が定まれば、その数値を達成するために逆算して日々何をすべきかが明確になります。また、進捗が思わしくない場合にも上司と相談してリカバリーをしたり、原因を分析して優先すべき業務を判断したりといった対策が打てるようになります。
達成可能な目標を設定する
高い目標を設定することは重要ですが、達成できないほど高い目標を設定しても、達成できないどころかモチベーションダウンにつながります。企業の目標として高い数値が求められることもありますが、根拠に基づく達成可能性を判断して目標設定をおこなうことが大切です。
また、確実に達成できる目標では自信やモチベーションアップにつながらないため、努力や創意工夫をしてギリギリ達成できる目標を設定することも意識しましょう。
ツールを活用する
営業目標の設定にツールを活用するのも効果的です。ツールを用いれば、過去や最新のデータをもとに営業目標を設定できることに加え、ツールによってはAIが最適な営業目標を算出してくれます。また、目標に対する進捗をツールで管理でき、現状を踏まえた適切なマネジメントをおこないやすくなります。
適切な営業目標の設定にはさまざまな要素を考慮する必要があり、時間がかかるものですが、ツールを用いれば効率的に営業目標を設定できます。積極的に活用しましょう。
まとめ
企業の営業活動における目的を達成するためには、営業目標を設定し、チーム、営業担当者それぞれが取り組むべきタスクを具体化していくことが重要です。営業目標を設定すれば、チームや営業担当者個人の役割や責任範囲が明確になり、生産性向上やモチベーションアップにもつながります。
営業目標を立てる際には、SMARTの法則に基づき、適宜ツールを活用して適切な目標設定をおこないましょう。
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