フォーキャスティングとは何か?なぜ重要なのか?
フォーキャスティングとは、年間、半期、四半期、月間、週間といった一定期間にわたる達成できるだろう売上を予測するプロセスです。このプロセスでは、過去のデータと複数の部門からのインサイトを活用して、将来の売上に対する予測値を設定します。
フォーキャスティングは、経営リーダーがビジネスの長期的な成長見通しを立て、意思決定を行う上で重要です。直感だけに頼って戦略的な意思決定を行なうのではなく、客観的なデータに基づいたフォーキャスティングを活用して意思決定を行うべきです。その結果、より正確な未来予測、より高い収益性を獲得し、より持続可能で長期的なビジネス成長が実現するのです。
精度の高いフォーキャスティングに立ちはだかる課題
Gartnerの調査によると、フォーキャスティングの精度に自信を持っている営業リーダーと営業担当者は、45%だけでした。Forresterの調査では、2021年にはB2B企業の93.6%が四半期の初日に見積もったフォーキャスティングから、10%以上実際の売上が乖離したと報告しています。これは経済が不安定だとさらに深刻化し、Harvard Business Reviewによると、通常では8%高くなるはずのフォーキャスティングが、不安定な状況では50%もずれてしまう可能性があるそうです。
この事は、企業にとって大きな問題であり、それを解決することは最優先事項です。とはいえ、フォーキャスティングのプロセスを改善するためには何をすればよいのでしょうか。
Xactlyによる最新の調査から、そのヒントがわかります。Xactlyは、世界中の261社を対象とした調査に基づいて、フォーキャスティングに関する実態について、ベンチマークを提供しています。そこから、企業や組織が直面する共通の課題が明らかになるだけでなく、効率的にフォーキャスティングを行うための示唆を得ることができます。ここからは、その調査結果からわかるポイントを一緒に見ていきましょう。
企業のフォーキャスティングに関わる現状
フォーキャスティングは ほぼすべての企業で行われている
定期的にフォーキャスティングを立てることは、マーケティング予算をどうするか、商品の在庫をどうするかといった、ビジネス上あらゆることについて意思決定を行うために、極めて重要です。Xactlyの調査によると、ほとんどの組織がこのことを理解しており、フォーキャスティングを立てていないと答えた回答者はわずか2%でした。
しかし、企業が予測する項目としては、新規顧客からの売上が最も多くなっています。これは、多くの企業がビジネスの成長を容易に実現するチャンスを見逃していることを示しています。
「既存顧客からの売上を拡大させることで、1.5~3倍も効率的に売上高を増やせるにもかかわらず、既存顧客からの売上拡大をフォーキャストしていると回答した人は、76% に過ぎません。」
つまり、現状の経済環境で売上拡大を目指す企業は、この領域のフォーキャスティングにもっとフォーカスするだけで簡単にビジネス成長を実現できます。
正確にフォーキャスティングできている企業は極めて少ない
フォーキャスティングは正確であってこそ価値があります。正確でなければ、根拠のない自信に基づいた判断となり、結果、商談を逃したり、無駄なリソースの投下をすることになりかねません。
フォーキャスティングの精度は、企業が規模を拡大し、予測に基づいた意思決定を下す関係者の数が増えるほど、特に問題になります。企業は資金調達のためにもフォーキャスティングのデータを利用しますが、不正確なデータに基づいて意思決定を下していることが投資家に知られれば、企業は評価を落とすことになります。
Xactlyの調査から、企業は努力しているものの、現状ではほとんどの企業のフォーキャスティング精度が極めて低いことが判明しています。実際の売上がフォーキャスティングの5%以内である企業はわずか9%であり、残りの91%の企業が的外れなフォーキャスティングをしているのです。
この問題の根本原因は、やはりデータの品質と精度が低いことです。回答者は、フォーキャスティングにおける主な3つの課題として、「データの品質」、「手作業のプロセス」、「断片化されたデータソース」を挙げています。
結局のところ、このような問題の多くは、導入しているテクノロジーに起因しています。フォーキャスティングの算定には主にExcel(66%)やGoogle Sheets(32%)が使われていますが、これが原因で予測精度が極めて低くなっているのです。フォーキャスティング管理ソフトウェア(12%)や、より包括的で部門横断的なツールであるビジネス インテリジェンス ソフトウェア(13%)やレベニュー インテリジェンス プラットフォーム(5%)を使っている企業はほとんどありません。Xactlyの調査では経営リーダーの52%がデータ品質の低さを課題として挙げています。
手作業のプロセスはフォーキャスティングの頻度を低下させる
ビジネスインテリジェンス プラットフォームは、ごく一部の企業で利用されています。しかし、そのソリューションは、フォーキャスティングそのものを可視化するものであり、プロセスやプラットフォームを横断して入力を受信できるようにはなっていません。その結果、それらのテクノロジーを導入済みの企業でも、未だにモデリングやプランニングのプロセスを自動化することができないのです。
これらの問題は、正確なフォーキャスティングを著しく困難にするだけでなく、フォーキャスティングの頻度も制限します。フォーキャスティングが手作業で行なわれているため、ほとんどの企業では頻度が月次または四半期に1回程度にとどまり、週次でフォーキャスティングを出すことができる企業はわずか10%に過ぎません。
これでは、不確実性の高い時代において、予測から真の価値を得るのに十分な頻度とは言えません。月次や四半期ごとのフォーキャスティングでは、市場の急激な変化や短期的なトレンドが考慮されないため、売上に関わる各チームが戦略的行動を強化するために必要な最新のインサイトを得ることができないのです。
正確なフォーキャスティングには部門横断的な連携が不可欠
企業の業績に影響を及ぼす様々な要因を考えると、フォーキャスティングは本来、部門横断的なプロセスです。連携している各チームからの情報がなければ、フォーキャスティングのベースとなる現状を明確に把握することはほぼ不可能です。
Xactlyの調査から、少なくとも2つ以上の部門が新規顧客からの売上獲得、既存顧客からの売上拡大、既存顧客からの売上維持に関連するフォーキャスティングに責任を持っていることがわかりました。実際はフィールド営業部門、財務部門、カスタマーサクセス部門のいずれもフォーキャスティングを行うために重要な役割を担っています。
このグラフから、企業は真に部門横断的な予測プロセスを構築することに苦労していることがわかります。営業と財務が新規顧客からのフォーキャスティングに重要な役割を果たしていることは納得がいきます。しかし、ほとんどの企業のフォーキャスティングが不正確であることを考えると、マーケティングとカスタマーサクセスの関与が他の部門に比べて低いことは、問題を解決するための鍵と言えるかもしれません。
既存顧客からのフォーキャスティングを行うチームでも同様のパターンが見られます。アカウントマネジメントとマーケティングは、このプロセスへの関与が低くなっています。このような調査結果から、断片化されたデータ、不正確な情報、連携の難しさがある中でフォーキャスティングをすることは、非常に困難な作業だということが分かるでしょう。
まとめ
これまでの内容を踏まえ、フォーキャスティングにまつわる現状のサマリーと、それに対する改善の方向性をまとめます。
フォーキャスティングにまつわる現状のサマリー
- フォーキャスティングは極めて重要な部門横断的プロセスである
- しかし、フォーキャスティングの精度は引き続き大きな課題である
- 不正確なフォーキャスティングの原因はデータ品質が低いことにある
- 手作業のプロセスと時代遅れのテクノロジーはデータの利用を制限し、組織の分断を引き起こす
改善の方向性
- 手作業によるプロセスやその他のフォーキャスティング業務を自動化し、データ品質の向上、断片化されているデータソースの統合、エラーの削減、部門横断的な作業の効率化を図るべきである。
- 連携するチーム間の部門横断的なコラボレーションは、既存顧客の売上拡大を正確に予測するために不可欠である。なお、既存顧客の売上拡大は新規顧客の獲得よりも費用対効果が1.5倍から3倍高い。
- 企業はフォーキャスティングの頻度を高めることに注力し、週次フォーキャスティングを達成することを目標とすべきである。
Xactlyが実施した調査結果の詳細は、こちらからぜひダウンロードしてご入手ください。より信頼性の高いフォーキャスティングのためにデータと部門横断的な連携を改善するための、より具体的な方策を得るヒントとしてください!