公開日 2023.12.20  更新日 2024.02.13

フォーキャストとは?精度の高いフォーキャストを算出するために必要な管理のポイントについて

企業経営や営業に携わっている人ならば、「フォーキャスト」という言葉を一度は聞いたことのあるのではないでしょうか。フォーキャストとは、ある将来の特定期間で売上がどの程度達成できるかを予測すること(もしくはその予測値のこと)です。正確なフォーキャストができれば、企業内のさまざまな部門での適切な意思決定ができ、営業においては売上目標達成に向けた最適な活動の実施が可能となり、結果的に企業として、売上の向上、生産性の向上、コストの最適化など、多くのメリットを得ることができます。

ここでは、フォーキャストの概要や目的、フォーキャストを管理する方法、正確なフォーキャストをおこなうポイントなどを解説します。適切なフォーキャスト管理をおこなうためにも、ぜひ本ブログを参考にしてください。

目次

    フォーキャストとは

    「フォーキャスト」とは、ある特定の期間において、売上がどうなるのかを予測することを意味します。またビジネス上の会話においては、予測された売上高の値を指すような文脈でも使われます。勘や直感などをもとに未来を想定していく”予想”ではなく、「データ」といった客観的なファクトに基づいて未来を”予測”することがフォーキャストの肝になります。従って、フォーキャストに際しては、過去の売上データ、現在の商談データ、市況データ、競合の状況などから勘案していくことになります。

    フォーキャストは精度が重要

    フォーキャストは企業にとって未来を読むことです。予測された未来の売上に基づいて、経営者は、投資判断などの現在の意思決定を行います。また、売上をあげる責務がある営業にとっては、特定の期間内(通常は会計期間内)における売上目標とフォーキャストの乖離が明らかにでき、必要な対応策を講じることができます。

    では、このフォーキャストが正しくなければどうなるでしょうか?

    例えば、100億円の売上をフォーキャストしていたのに、実際は50億円の売上しかあげられなかった場合です。企業は100億円を見越して、次年度の売上拡大に繋げるため、設備や人材などに投資しているかもしれません。そうなると、キャッシュフローは悪化し、資金繰りなどの経営的な問題を引き起こしてしまいます。

    逆に50億円の売上をフォーキャストしていたのに、実際は100億円の売上が上がった場合はどうなるでしょうか。この場合、企業は新規投資を控えてしまい、次年度のビジネス拡大に遅れがでることになります。特に、昨今の変化の激しいビジネス環境においては、判断の遅れが大きなビハインドになることもあります。

    一方、営業の現場ではどうでしょうか。

    楽観的で過大なフォーキャストをしているような場合、期末の直前になってはじめてフォーキャストしている売上を達成できないことが判明(=目標も未達になることが判明)して、にっちもさっちもいかないこともあるでしょう。あらかじめ正しいフォーキャストができていれば、目標に未達になるだろうことを早いタイミングで予見できるので、既存商談に対する受注前倒しや新規商談の獲得への注力など、必要な対策を講じることができるのです。

    このように、経営的にも、営業的にも、フォーキャストを行うことは当然ですが、そのフォーキャストを高い精度で行っていくことが非常に重要なのです。

    >精度の高いフォーキャストがもたらす好影響についてはこちらをご覧ください。

    フォーキャストの目的

    ここで、フォーキャストをおこなうことの主な目的を4つにまとめてみます。

    経営の最適化

    全ての経営者は、未来がどうなるのかを予測しながら経営の舵取りを行っています。マーケットの状況、競合の状況、自社の状況などを加味しながら、とりわけ、会計上のトップラインにあたる売上高がどうなるのかをフォーキャストすることが最重要事項です。これは、いわゆる事業計画に必ず含まれる要素です。そして、この事業計画に基づいて、経営者は、資金調達、投資判断などを行っていくのです。従って、正しい事業計画を持つこと、つまり正しいフォーキャストをすることが、最適な経営を行うために必要ということです。

    予算の最適化

    会計期が始まる前には、どの事業にどの程度の予算を割けるかを検討する必要がありますが、これもフォーキャストが前提になります。売上の予測が全く立っていない状況では適切な予算按分の検討がおこなえないことは想像に容易いでしょう。企業内において最適な金銭的なリソース配分を決める上でもフォーキャストが必要なのです。

    生産・在庫管理の最適化

    製造業などでは、製造リードタイムが存在するため、フォーキャストをもとにして、生産・在庫管理がおこなわれます。正確なフォーキャストがないと、必要な生産数や在庫数を適切に判断できず、機会損失や過剰在庫につながる可能性があります。

    人事の最適化

    人は企業にとって最重要のリソースに他なりません。人材採用、人材配置といった人事活動もフォーキャストに基づきます。売上の増加が見込める事業には新規で雇用したり、人員を再配置したりするでしょう。最適な人事の意思決定を行う上で正しいフォーキャストが必要になります。

    >不適切なフォーキャストがもたらす可能性のある影響についてはこちらからご確認いただけます。

    フォーキャストの算出・管理の方法

    では、フォーキャストは実際にどのように算出して管理をおこなえば良いのでしょうか。その具体的な方法を解説します。

    過去からの傾向や現状をもとに分析する

    まずは、過去からの傾向や現状がわかるデータやファクトを収集します。具体的には、過去の売上実績、現在の商談パイプライン状況、第3者による市場予測データなどです。それらをもとに、過去から現在、そして未来に向けての予測を分析します。

    過去からの売上トレンドに基づく分析は、単価が安く大量に売買されるような商材のB2Cビジネスで、営業パイプラインに基づく分析は、単価が比較的高く営業担当者が一つひとつの案件をフォローするような商材のB2Bのビジネスで、多く採用されています。

    将来地点の売上到達見込みを予測し設定する

    過去の傾向や現状などのデータの分析結果をもとに、特定の将来地点における売上到達見込みを算出します。この見込み値が設定されれば、同時に、その将来における売上目標とどの程度のギャップがあるのかを明らかにできます。

    また近年では、データとテクノロジーを活用したAIによる算出を活用しているケースも増えています。AIの分析は、継続的に蓄積した営業活動データがあれば自動的に精度の高いフォーキャストが算出される点が大きな特長です。

    達成目標とのギャップを埋める対策を打つ

    フォーキャストによって、達成したい目標とのギャップが明確になったら、そのギャップを埋めるためにどのような対策をおこなうのかをプラン(ギャップ・フィル・プラン)します。このプランを実行に移したら、どの程度のギャップを埋めることができたのかを確認することも重要です。意図した結果を得られなかった場合は、対策案を改善して、更なる実施をしていきます。

    正確なフォーキャストをおこなうポイント

    フォーキャストには正確性が重要ということを述べてきましたが、ここではその正確なフォーキャストを行うために意識するべきポイントを列挙します。

    営業プロセスを定義づける

    売上の計上とは、顧客との商談が成約に至ることです。商談が成立に至るまでは、当然一連のプロセスがあり、どの顧客もそのプロセスをたどります。この商談が成立するまでの一連の流れを営業プロセスといいます。この営業プロセスは各社の商材や方針によって変わってきます。この営業プロセスを定義することで、全社で商談の進捗が標準化されるため、次に述べるパイプライン管理に適用することで、より正確なフォーキャストを出せることにつながります。

    営業プロセスについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
    >営業プロセスとは?可視化するメリットや管理のポイントを解説

    しっかりパイプライン管理を行う

    前述の営業プロセスが定義できれば、商談全体の集まりをパイプラインと見立て、それを管理していく”パイプライン管理”に昇華させていきます。営業プロセスの定義によって、商談が成約に至るまではいくつかのステップが存在することになりますが、その各ステップでは、次のステップに進む上で満たすべき条件というものが存在します。例えば、初期ステップではBANT状況を確認するなどです。このようなチェックポイントを適切にクリアしているのかを商談ごとにレビューすることで、各商談がどのくらいの確度で成約に至るのかが明らかになります。それをパイプライン全体で行うことがパイプライン管理であり、このパイプラインの結果として、精度の高いフォーキャストを算出できるようになります。

    パイプライン管理については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ併せてご覧ください。
    >営業のパイプライン管理とは?必要な理由と具体的な手法

    フォーキャスト専用ツールを活用する

    前述のパイプライン管理は、営業担当の人数が多くなり、商談も多くなってくると、マニュアルでの管理が困難になってきます。従って、その管理負荷を下げ、マネージャーや担当者の生産性をあげるためにも、パイプライン管理をサポートするツールの活用が不可欠です。

    このツールには、SFAやCRMがあげられることもありますが、これらはその時点の商談データなどを保持することは得意ですが、過去の売上実績やフォーキャストデータを参照することが困難なことが考慮点になります。結局、データをCSVなどで抽出し、Microsoft社のExcelなどでレポートを作って分析している人も多いのではないでしょうか?この場合、SFA側とデータの非整合が起きたり、リアルタイムなデータを反映できていなかったり、ファイル肥大化による動作の低下、さらに、誤ったデータ消去やファイル消去といった問題も孕んでいます。結果的に、フォーキャスト算出までに多大な工数がかかるだけでなく、その精度も高めることができず、Excelでの運用は多くの企業が直面する課題にもなっています。

    つまり、精度の高さやオペレーションまで意識した対応を行う上では、SFA/CRMツールに加えて、フォーキャスト専用ツールを活用することで大きな効果があがります。フォーキャスト専用ツールは、精度の高いフォーキャストを算出するために必要な設計と管理機構が搭載されているため、SFA/CRMに蓄えられたデータとシームレスに連携し、企業の収益拡大に寄与します。

    Xactly Forecastingは、このフォーキャスト専用ツールであり、セールスフォース社のSales Cloudや、マイクロソフト社のDynamics 365などと連携して、パイプライン管理やフォーキャストを行うことができます。内部的には、AI/MLを活用して成約の可能性が高い商談を導き出す機能や、営業担当者へのデジタルコーチング機能、過去データ含めた各種データをあらゆる角度から瞬時に表示するダッシュボード機能などを備えています。

    様々な効果が発揮されているXactly Forecastingの詳細をご覧になりたい方はこちらからぜひご確認ください。
    すぐに分かるXactly Forecastingデモのご紹介

    >フォーキャストをマニュアル通りにやる場合とツールを用いておこなう場合の組織に与える影響の違いなどについてはこちらからご確認いただけます。

    まとめ

    フォーキャストの概要や、精度の高いフォーキャストを算出するために必要な管理のポイントについて解説しました。

    フォーキャストは、経営や予算、生産・在庫管理、人事などを最適化する上で、企業にとって不可欠なものです。営業においては、過去の傾向や現状の分析をもとに売上目標とフォーキャストとのギャップを把握し、ギャップを埋めるための対策をおこなうためにも使われます。

    より正確なフォーキャストを行う上では、全社を通じて営業プロセスを定義し、パイプライン管理を行う素地を作りましょう。その上で、それらをサポートするSFA/CRMツールの導入はもとより、精度の高いフォーキャストの算出とそれに関連するマネジメントの支援ををおこなえる専用ツールの導入をぜひ検討してみましょう。

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