Salesforceのリード管理・商談管理は、パイプラインだけではなく営業プロセス全体をサポートします。
ただ、SalesforceをCRM(顧客管理)システムとして導入したからといって、ROI(投資利益率)を最大化するための対策が適切でなければ、その効果は得られません。
Salesforceのリード管理・商談管理戦略を最大限に活用して、パイプライン構築、営業チームのパフォーマンス向上、フォーキャストの強化、ビジネスの成長促進を実現する方法について、以降のセクションでご紹介します。
サマリ
- Salesforceのリードとは、ソリューションへの初期段階の興味(パイプラインの開始)を意味し、商談とは、将来の販売の可能性の高いもの(パイプラインの末期)を意味する。
- リードと商談のクオリフィケーション(選別)基準を明確にしておくことで、営業担当者はリードを正確に分類することが可能。
- 確度が低いリードをパイプライン内に放置しないこと。そのようなリードはナーチャリング(育成)またはアーカイブの対象とする。
- 営業戦略や営業管理に使用しているソフトウェアプラットフォーム(Xactlyなど)をSalesforceに統合することで、より包括的なデータ分析とパフォーマンス追跡が可能。
Salesforceのリードと商談の違いとは?
Salesforceのリード管理・商談管理を最大限に活用するためには、まずリードと商談の違いを理解する必要があります。Salesforceは、パイプラインのステージに基づいてリードを以下の4つのカテゴリーに分類していますが、リードと商談もそのカテゴリーに含まれます。
- リード - 興味を示した、または連絡を入れて営業プロセスを開始すべきと判断された相手。通常、リードは潜在的な顧客として働きかけたい企業と考えることができます。
- アカウントとコンタクト - Salesforce CRMでは、この2つのカテゴリーのプロセスが同時に進められます。アカウントは企業または組織を指し、コンタクトは最初にリードとして特定された人を指します。1つのアカウントに複数のコンタクトを割り当てることができます。
- 商談 - 商談は具体的な企業や個人ではありません。将来的な販売・成約の可能性が高い案件・取引を意味します。アカウントとコンタクトはどちらも商談に紐付けされます。
最終目標は商談を成約させることです。
リードは、Salesforceのパイプラインでどう変化するのか
企業や状況によって「リード」の定義は様々ですが、Salesforceのリードとはパイプラインのごく初期の段階を指し、実際に顧客へと転換(コンバージョン)するかはまだ確定されていません。
Salesforceのリードとは、基本的にマーケティング部門や営業チームが名刺などで入手した連絡先などの情報です。主に以下のようなチャネルを通じて獲得できます。
- ランディングページの入力フォーム
- オンライン広告のクリック
- 販促資料のダウンロード
- ウェビナーへの参加
- SNSでの交流
- 紹介プログラム
- Webサイトでの交流
- 展示会のアンケート
これですべてではありませんが、Salesforceのリードがどのようなものかはご理解いただけたと思います。Salesforceのシステムでは、リードに様々なステータスが割り当てられます。例えば、以下のようなステータスです。
- Open(未連絡) - リードの情報を入手したが、まだ連絡をしてない
- Contacted(連絡済み) - 初回連絡を完了
- Qualified(確度が高い) - 購入への関心がある
- Unqualified(確度が低い) - 購入の可能性がない
Salesforceには、これらのリードステータスがデフォルトとして設定されていますが、各社の営業プロセスに合わせてカスタマイズすることも可能です。リードステータスの割り当ては、Salesforceのリード管理において重要です。なぜなら、営業チームが取るべきアクションや、リードをアカウントとコンタクトに転換できる可能性とそのタイミングを示すものだからです。
リードは、見込みがあると判断された時点で、アカウントとコンタクトに転換すると良いでしょう。アカウントとコンタクトを商談に転換する基準は企業によって異なりますが、商談が作成される条件を厳密に定義することが重要です。
Salesforceのリード管理・商談管理を成功させる6つのステップ
リードの基準を定義する
Salesforceのリード管理プロセスでは、社内基準に基づいて、リードがパイプラインのどの位置にいるかを判断する必要があります。リードを正確に分類するためには、この基準を明確に定義し、営業チームに伝える必要があります。
例えば、前述した通り、確度が高いと判定されたリードは、アカウントとコンタクトに転換すべきです。しかし、「確度が高い」の定義は企業によって異なります。リードクオリフィケーション基準を明確化することで、営業担当者はリードのステータスを変えるタイミングやその根拠を適切に判断できるようになります。
リードはパイプラインのどの位置にいるかによって、対応が異なります。例えば、新たに獲得したリードには、購入の可能性を判断する最初のアウトリーチを行います。コンタクトに転換されているのであれば、ナーチャリングの対象とし、適切なコミュニケーションを継続的に行なうことで、商談ステータスへ誘導できる可能性があります。
潜在的な顧客に、適切なタイミングで適切なメッセージを届けることは、購買体験を全体的に向上させ、継続的な取引の成立につながります。
リードのデータソースを統合し、自動化する
今日の企業では、メールマーケティングプラットフォーム、広告アカウント、オンラインの入力フォーム、イベント時のアンケートをはじめ、様々なソースからリードのデータが生成されています。これらのソースから手作業でデータを取得していては、人為的なミス、リードの取りこぼし、機会損失が発生しやすくなります。
Salesforceは、Google Workspace、MailChimp、Google Ads、LinkedIn、Active Campaign、そしてもちろんXactlyなど多数のアプリケーションやシステムを統合しています。
これらのテクノロジーを統合することで、重要なリードデータの取りこぼしを防ぐほか、営業担当者のデータ入力の手間を省け、実際の営業活動に時間を使えるようになるため、生産性が向上します。
また、統合により、使用する全てのプラットフォームやツールで営業活動を包括的に分析できるようになるため、Salesforceを最大限に活用したデータドリブンなリード管理戦略を実現できます。
リードステータスをカスタマイズする
リードのステータスを明確化するには、Salesforceのデフォルト設定ではなく、カスタマイズしたステータスを使用するとよいでしょう。営業チームが社内向けにリードの状況を示しやすくなり、デフォルトのステータスでは伝えきれないニュアンスを伝えられるようになります。例えば、見込みはあるものの、まだ購買サイクルに入っていないリードがいるかもしれません。このようなリードには、正式にアカウントとコンタクトに転換する前に、何らかのナーチャリングが必要かもしれません。
「ナーチャー(育成)」のようなカスタマイズしたリードのステータスを使用して、そのリードに見込みがあることを示せば、ドリップキャンペーンなどのリードナーチャリングを開始して、リードを温めることができます。
確度の低いリードを放置しない
「確度が低い」リードに営業担当者がアプローチし続けて時間を無駄にすることもあれば、その時点では見込みがなくても、ある条件が変われば「確度が高い」に変わるリードがあるかもしれません。
このような、確度が低いリードへの対応をどのように判断すべきでしょうか?
一般的に、以下のいずれかに該当するリードは、確度が低いと判断できます。
- 自社で解決できる問題やニーズがない
- 企業の購買に関する決断を下す力を持っていない
- ソリューションを導入するための予算がない
とは言え、いずれの条件も永久に変わらないとは限りません。予算が変更されて、ソリューションが買えるようになるかもしれません。何かのきっかけで、それまで必要とされていなかったソリューションが必要とされるかもしれません。そのような場合に、最初にコンタクトを取る企業でありたいはずです。
同時に、このような変化に備えて、営業担当者に継続的なフォローアップを任せることも現実的ではありません。
確度が低いと判断されたリードには別のルートを用意しましょう。例えば、メール購読者リストへの登録やオンラインウェビナーへの招待です。いずれも、営業担当者が労力をかける必要はありません。
最後に、確度が低いリードが単純にパイプラインに適さず、パイプラインから逸脱した場合には、それをきちんと把握してください。例えば、理想的な顧客像に明らかに合致していない場合などです。このようなリードはアーカイブに移動し、パイプラインを目詰まりさせることがないようにしましょう。
商談へのコンバージョン基準を定義する
前述したように、販売の可能性が高い場合に限り、アカウント/コンタクトから商談に転換すべきです。Salesforceのパイプラインにおける商談とは、取引成立まで、営業プロセスの最終ステップを残すだけとなった状態を指します。
しかし、その状況は企業によって異なります。一貫性、正確性、そして転換率を高めるためには、明確な商談基準を設定し、それを営業チームと共有し、基準の順守を徹底する必要があります。
パフォーマンスを追跡・監視する
Salesforceのような品質の高いCRMを利用する大きなメリットの1つは、アナリティクスを活用して営業パフォーマンスを向上できることです。Salesforceのリード管理・商談管理を最大限に活用するためには、重要なKPIを頻繁に報告・測定して活用するデータドリブンなプロセスを導入しましょう。