公開日 2022.07.04  更新日 2023.07.05

成約率(受注率)とは?計算方法や営業の成約率を上げるコツを解説

営業活動の管理において、成約率(受注率)は非常に重要な指標です。営業組織や個人が成約率を上げていくのは、営業活動が効果的におこなわれていることを測る指標の一つになります。また、成約率を把握できていれば、逆算することで、目標達成するためにどのくらいの商談パイプラインが必要なのかといった示唆も得られます。

この記事では、成約率の定義や計算方法、成約率を上げるための方法などをご紹介します。この記事を参考に成約率を的確に計算し、営業活動の見直しを行いましょう。

目次

    成約率(受注率)とは?

    成約率とは、営業において期初に抱えていた商談全体の金額(ないし数)のうち、期末までに契約を獲得した金額(ないし数)の割合を示すものです。期初に抱えていた商談全体のボリュームに対して成約した量が多ければ成約率が高い、少なければ成約率が低いという計算になります。「受注率」などの用語も成約率と同義語です。

    成約率の算出方法

    成約率は、金額で算出する方法と件数で算出する方法の2通りが存在します。商談単価がほぼ一律の場合、件数でもいいですが、営業のパイプライン管理、売上予測の観点では、金額で算出することが一般的です。金額で算出する場合、件数で算出する場合のそれぞれの計算方法は下記です。

    金額で算出する場合

    成約率(%)=期末までに成約した商談の総額 ÷ 期初に抱えていた商談の総額×100

    例:期初に成約を想定していた商談の総額が5,000万円であったが、期末までに2,000万円の成約があった場合は、2,000÷5,000×100で成約率は40%となります。

    件数で算出する場合

    成約率(%)=期末までに成約した商談の総数 ÷ 期初に抱えていた商談のs総数×100

    例:期初に成約を想定した商談が30件であったが、期末までに6件の成約があった場合、6÷30×100で成約率は20%となります。

    平均成約率とは?

    成約率は、四半期ごとなど、会計期間で規定した期間の期初と期末のデータで算出されます。平均成約率(平均受注率)とは、過去の成約率を押し並べて、営業チームや営業担当者の平均的な成約率を算出したものです。後述しますが、営業のパイプライン管理や、売上予測を行う際には、平均成約率が用いられます。

     

    成約率の目安は?

    成約率の目安については、業界や製品、自社のポジションなど多くの要素が絡み合うため一概に〇%あれば高いなどということは難しいです。そのため、自社でデータを蓄積していくことで、適切な成約率の目安を探すことが大切です。目安が定まると、営業組織や営業担当者レベルでのパフォーマンスを分析することができます。

    営業において成約率が重要な理由

    営業においてなぜ成約率が重要なのか、成約率を把握することで得られる効果を解説します。

    営業パフォーマンスを可視化・比較する

    成約率を算出し数値として可視化すると、個人や営業チームとしてのパフォーマンスや目標とのギャップ、達成するためのアクションなどを把握しやすくなります。結果として、営業活動における課題を発見しやすくなるでしょう。

    成約率を可視化する際は、用途別にグラフ化するのがおすすめです。過去からの推移を見る場合は折れ線グラフ、個人やチーム、製品、地域の差異を見るなら、棒線グラフといったように使い分けると良いでしょう。

    営業活動における個人の特性を見極める

    成約率を可視化すると、営業担当者個人の特性を見極めやすくなります。個人の適性に応じてマネジメントを行えば、人材育成や生産性向上につながります。

    成約率が低いと見えるケース

    期初の商談の見通しを大胆かつ挑戦的に見積もりがちな営業担当かもしれません。多少リスクがあっても成約できると想定していたり、成約予定金額も楽観的な見通しを立てているかもしれません。一方で、自分自身に発破をかける意味でも大胆に見積もっている可能性もあるでしょう。

    もちろん、営業活動の進め方にスキルが足りておらず、結果的に成約率が上がっていない場合もあります。
     

    成約率が高いと見えるケース

    期初の商談の見通しを保守的に見積もりがちな営業担当かもしれません。リスクを感じていれば、商談そのものをカウントしていなかったり、成約予定金額を低く見通している場合もあるでしょう。自身のパフォーマンスとして、成約率を高く見せたいために、意図的に低く見積もっていたり、ひどい場合は商談の存在を報告せずに隠し持っていることもあるかもしれません。

    一方、純粋に、優れた営業活動の結果として、高い成約率を達成していることもあるでしょう。

    成約率そのものは、営業担当の申告に依存するため、このように人によって値が異なるということと、営業スタイルや性格の影響を受けることに注意しましょう。成果が上がっているかどうかの指標として成約率を用いる場合は、過去からの推移を見た時に改善しているかどうかをポイントにしてください。

    成約率の個人による違いは、図のようなツールを使って可視化することができます。

    Xactly Forecastingで成約率(受注率)を確認する

    図: Xactly Forecastingで成約率(受注率)を確認する

    ターゲットセグメントや商材ごとの特性を見極める

    ターゲットセグメントや商材別に成約率を算出し比較すれば、ターゲットセグメントや商材ごとの特性を見極めやすくなります。

    ターゲットセグメントごとに成約率を比較した場合、より高い顧客ニーズがあるセグメントを見極めることができます。(例えば、業種ごとにセグメントを切って分析した際、製造業では成約率が高く、金融業では成約率が低いという結果が出れば、製造業により多くのニーズがあるとわかります)

    また、商材ごとに比較することで、どの商材が市場競争力が高いのかを見出すこともできます。

    こういった傾向を分析することで、自社に適切な営業戦略としてアップデートしていくことができます。

    営業売上目標の達成率を上げる

    成約率を把握できれば、期末の売上目標に対し、これまでの成約率から逆算して期初の時点での必要な商談金額や件数を計算できるようになります。これと比較して、実際の商談ボリュームに不足がある場合、期末時点での目標達成のため、もっと商談を積み上げるにはどうすればいいか、といった必要なアクションを洗い出すことができます。

    売上予測をおこなうため

    期初に抱える商談のボリュームに、成約率を掛け算することで、成約率データに基づいた売上の着地予測ができるようになります。売上の着地をみこむ将来の予測は、経営にとって最重要な要素の一つです。予測に基づいて、戦略策定、予算配分、人事管理、生産・在庫管理などおこなうためです。成約率がわかると、精度の高い売上予測をおこなっていく一助になります。

    売上予測については以下の記事でも詳しく解説しています。併せてぜひ参考にしてください。

    売上予測(フォーキャスティング)とは? 計算方法と正確な予測を可能にするツールをご紹介

     

    成約率が上がらない要因

    営業パフォーマンスの改善のため、成約率を上げたいと模索しているものの、なぜ上がらないのか分からないなどの悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。

    過去と比較して成約率があがらない場合には、パイプラインの管理に課題があると考えられます。以下のようなポイントは欠落していないでしょうか。

    タイムラインを把握できていない

    顧客の成約までのタイムラインを把握できていないと、足の長い商談に時間を割き続けてしまい、その期中に成約しなければいけない他の商談に時間を費やせなくなる可能性が高くなります。顧客へのヒアリングの際はいつまでに必要なのか、いつ頃決定するのか、タイムラインを明らかにする質問をしましょう。また顧客が明確な決定時期を決めていない場合、こちらから期限を区切って、特別な提案(ディスカウントなど)をしていくのも有効です。

    決裁権をもった人にアプローチできていない

    決裁権をもった人にアプローチできていないと、商談の大詰めになって成約できないケースも増える可能性が高くなります。決裁権をもった人に適切にアプローチを行えば、成約の確度が上がると共にスピード感をもって成約につなげられるでしょう。ただし、商談の金額によって決裁者が異なることもあるため、企業によって決裁者の見極めが必要になります。

    真のニーズに合致する提案ができていない

    顧客のニーズに合致する提案ができていないと、成約にはつながらず顧客からの信頼も得られない可能性が高くなります。顧客の真に求めているものは何かを把握し、適切な提案をおこなうことが重要です。そのためには、顧客に(しつこくない程度で)「なぜ」という質問をぶつけることが有効です。なお、ヒアリングの際は、ヒアリングしたニーズが個人のものなのか、部署のものなのか、会社全体のものなのかの見極めも大切になります。

    予算を把握できていない

    予算を把握していないと、顧客の予算に合わない提案をしてしまい、成約につながらない可能性が高くなります。また顧客は予算を確保する前に、何かしらの商材やサービスを探しているケースも多いです。商談の早い段階で予算の有無、ないし予算額を把握しておくことが重要です。ただし、顧客との信頼関係が築けていないと率直な予算情報を聞き出せない可能性があるため、信頼関係の構築と情報の見極めが大切になります。

    成約率をあげていくコツ

    ここでは、成約率をあげていくコツを紹介します。以下の内容をぜひ営業活動に取り入れてみてください。

    営業の売上目標を設定する

    営業の売上目標を設定することにより、達成に向けてやるべきことが明確になります。また、目標を設定する際にはSMARTと呼ばれるフレームワークに沿っておこなうのが良いでしょう。SMARTは以下の頭文字をとったフレームワークです。

    • Specific:目標が明確か
    • Measurable:目標や達成度を数値として計測可能か 
    • Achievable:現実的に達成可能な目標化 
    • Relevant:目標の達成が利益につながるか
    • Time-bound:目標に期限が設定されているか

    クロージングテクニックを活用する

    商談の終盤、確実に成約率を上げるためにも、顧客とのクロージングは重要です。顧客心理を捉えながら、テクニックを駆使して的確に対応していく必要があります。テクニックにはいくつもありますが、ここでは代表的な3つを紹介します。

    テストクロージング

    テストクロージングとは、顧客との小さな合意を積み重ねていくアプローチです。「Yes」か「No」で答えられる問いかけを続けながら、顧客の「Yes」の回答を重ねることで、「Yes」と回答しやすい心理状況を作るテクニックです。フット・イン・ザ・ドアともいわれます。

    ドア・イン・ザ・フェイス

    ドア・イン・ザ・フェイスは、最初に断られる前提の過大な要求をおこない、断られた後に本命の小さな要求を提示するテクニックです。人間の返報性と呼ばれる心理傾向を利用し、こちらが譲歩しているように見える状況を作り出すことにより、顧客が提案を断りにくくすることができます。

    ゴールデンサイレンス

    ゴールデンサイレンスとは、最終提案が終わってから顧客が契約するかどうかを検討している時間のことを指します。検討する間の沈黙から、ゴールデンサイレンスと呼ばれます。営業にとっては不安を感じる時間ですが、この顧客の時間を遮って会話しようとしてしまうと、購買意欲を損ねたり、「決められないので次回で」という結果になり逆効果です。基本的には無言で待ち、顧客から疑問や質問などが投げかけられた際に回答するようにしましょう。

    営業パイプライン管理をおこなう

    営業のパイプライン管理をおこなうことで、営業活動における受注に至るまでの一連のプロセスが可視化できるようになり、ボトルネックが洗い出され、然るべき対応ができるようになります。堅実に商談対応を進めていくことができれば、必ず、成約率向上につながります。パイプライン管理を実施していく上で手法があります。詳細については以下のリンクからご確認ください。またパイプライン管理を、効率的・効果的におこなっていく上では専用のツールの利用を検討しましょう。

    営業のパイプライン管理とは?必要な理由と具体的な手法

     

     

    成約率向上にはXactly Forecasting

    営業パフォーマンスを向上し、成約率をアップしていくのに役立つツールとして、Xactly Forecatingが効果的です。

    Xactly Forecatingでは、SFAやCRMと連携し、営業活動におけるさまざまなデータを、営業パフォーマンス向上に役立つ形で視覚的に提示できます。もちろん成約率の把握もできます。AI(人工知能)やML(機械学習)によるデータ分析も駆使して、精度の高い売上予測(フォーキャスティング)や適切なパイプラインの管理を実現します。

    成約率の伸び悩みにお困りの際は、ぜひXactly Forecatingの導入をご検討ください。
    Xactly Forecatingについて詳しくはこちらからご覧ください

    すぐに分かるXactly Forecastingデモのご紹介
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    まとめ

    本記事では、成約率の意味や計算方法、成約率を上げるための方法などをご紹介しました。

    成約率とは、営業において期初に抱えていた商談全体のうち、期末までに契約を獲得した商談の割合です。成約率を算出し可視化できれば、営業パフォーマンスの改善や営業戦略への活用に加え、目標達成率を向上させたり、売上予測を立てたりすることが可能となります。

    成約率が上がらない要因としては、適切なパイプライン管理が行われていない可能性があります。適切なパイプライン管理や精度の高い売上予測の実現には、ぜひXactly Forecatingの導入をご検討ください。

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    https://xactly.co.jp/lp/forecasting/

     

    執筆者

    松波 孝治 Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    松波 孝治 | Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    Xactly日本法人のマーケティングを全体統括。大学卒業後、一環して外資系IT企業にて、マーケティングはもとより、コンサルタント、経営企画などにも従事。

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