公開日 2023.06.06  更新日 2023.06.06

SPIF(スピフ)とは?その効果と設定する上でのポイント

SPIFは 、Sales Performance Incentive Fundの頭文字をとった言葉で「スピフ」と呼ばれ、短期間で成果を上げるために用いられる営業インセンティブのことを指します。このブログでは、SPIFを活用して、効果的に営業パフォーマンスを向上させるための必須知識をご紹介します。

目次

    SPIFとは?その用途や効果とは?

    SPIFは、特定の製品やサービスの売上を促すために用いられる短期的なインセンティブのことであり、特別に設定されるパフォーマンスインセンティブとも言われます。Sales Performance Incentive Fundの頭文字をとって、SPIFと表記され、「スピフ」と呼ばれます。

    SPIFは、報酬プランの一部と見なされることが多いものの、必ずしも前持って定められるものではありません。むしろ、短期間に業績を大幅に向上させるための突発的なインセンティブとして取り入れられている傾向があります。

    SPIFが、着飾る、美しくする等を意味する" spiff "という動詞に似ていることは、おそらく偶然ではないでしょう。spiffという言葉から想像できるように、SPIFは、営業担当の焦点を変えて、特定の取引形態、製品やサービスに注力してもらうために使われます。

    すでに包括的なインセンティブ報酬制度が定められているにもかかわらず、なぜ短期間限定のインセンティブを用いる必要があるのでしょうか。それはもちろん、時として効果的に働くからです。Aberdeen社の調査によると、業界をリードする企業の50%以上が、SPIFを利用して収益や利益を増加させています。

    ここからは、このSPIFから得られる効果を最大化するため、営業向けSPIFの導入に関する必須知識をご紹介します。

    SPIFが推奨されるケース

    SPIF(スピフ)プログラムを実施する際は、特定の製品やサービスに焦点を当てるのが一般的です。対象の製品は、「売上に勢いがある」、「市場チャンスが増えている」、「組織目標の達成につながる」、「市場で販売されていない」等の基準で選ばれます。また、新製品のリリースや、一定期間内に販売を完了させなければならない製品やサービスにも、SPIFが必要とされることがあります。

    ただし、SPIFとは、補足的に利用されるインセンティブであり、包括的な営業報酬プランの代替にはなりません。むしろ、短期的に業績を向上させるために、既存の制度を補完する手段として取り入れる必要があります。

    以下のセクションでは、SPIFを利用して営業パフォーマンスを向上させる4つの方法をご紹介します。

    営業パイプラインを加速させる

    ビジネスの停滞期や新たな四半期が始まったばかりの時期であるといった様々な理由から、パイプラインの途中で商談が失速することがあります。SPIFは、潜在顧客をセールスファネルに取り込み、商談を進展させる営業担当のモチベーションを促すことができる有効な手段です。

    ただし、パイプライン途中で商談が停滞、あるいは減額している傾向が続いている場合は、データを深く掘り下げ、追加指導やトレーニングの必要性について確認する必要があるかもしれません。(その分析には、インテリジェントなフォーキャスト専用ツールが有効です)

    製品/サービスのリリースを後押しする

    新製品や新サービスのリリースを成功させるためには、勢いが重要です。SPIFを利用すれば、営業担当が新規潜在顧客へのアプローチや既存顧客のアップセルを図る際に、SPIFの対象となる新製品や新サービスを優先的に販売するでしょう。

    新たな市場チャンスをつかむ

    新製品・サービスをリリースする場合と同様に、SPIFは企業が新たなチャンスをつかむことを後押しします。大抵のケースにおいて、新たなチャンスとは、競合他社がまだ開拓していない新市場に進出することを意味します。SPIFは、営業担当の新たな見込み客への素早いアクションを取るよう促し、企業が新たな業界のパイオニアとしての地位を確立できるようにサポートします。

    業績不振時のパフォーマンスを促す

    SPIFは必ずしも新製品のリリースのようなポジティブなシナリオに付随するものではありません。売上が芳しくない場面で、売上を大幅に向上させるために取り入れなければならないこともあります。SPIFは、既存の営業報酬プランに加えて、営業意欲を大きく刺激する短期的なインセンティブとして取り入れられるものであり、売上を大きく後押しし、確実に目標達成へと導くことができるのです。

    営業部門全体に業績不振の傾向が認められる場合は、包括的なインセンティブ制度によって適切な営業活動が促されていない可能性があります。その場合は、SPIFではなく、既存の報酬制度を詳しく検討する必要があるかもしれません。

    SPIFプログラムを実施する際の5つのポイント

    SPIFは、固定額のスポットボーナス、クラブクレジットの倍増、売上目標のダブルスコア達成など、さまざまな形式や規模で設計することができます。また、金銭的インセンティブ以外を利用することも可能です。

    インセンティブ報酬制度に加えてSPIFプログラムを実施する際は、以下の5つの点に留意してください。

    組織の目標に合わせる

    SPIFプログラムを企画する際は、まず短期および長期の目標を考慮する必要があります。こんな質問を問いかけてみてください。

    • 長期的で包括的なイニシアチブは何でしょうか?
    • 短期的に大幅な増加を目指しているのは、売上、販売数、見込み客、注文数などのうち、どの要素でしょうか?

    より大きな目標に合わせることで、売上目標達成に必要な行動を促すSPIFを策定することができます。これは、SPIFだけでなく、インセンティブ報酬プランにも言えることです。

    頻度を抑え、突発的に実施する

    SPIFの成功にはタイミングが重要です。SPIFの目的は、短期間で売上を大幅に伸ばすことにあります。従って、業績を向上させるための長期的な手段として使用するべきではありません。過去のパフォーマンスデータに基づき、インセンティブの価値(=支給される金額)と目標達成に向けて軌道に乗るまでに必要な時間との間で、適切なバランスを取ってください。

    また、毎月または毎年同じ時期にSPIFプログラムを実施していれば、そのSPIFは恒例化され、営業部門のモチベーションを効果的に高めることができなくなります。営業担当が四半期末や年度末にSPIFを期待するようになると、そのインセンティブの力は発揮されなくなります。SPIFの「ギャンブル性」を保つために使用をなるべく控えて、営業担当がSPIFを期待しないようにしてください。目安としては、1年間に8回~12回を超えるSPIFプログラムを実施するべきではありません。

    対象者を定める

    短期インセンティブを利用する最大のメリットは、対象の個人や集団に合わせて簡単に調整できることにあります。自社のデータから過去に有効だったSPIFを分析し、今後効果を発揮しそうなSPIFを判断してください。また、インセンティブ報酬管理ソフトウェアを使用すれば、包括的な営業報酬プランの一貫として、各SPIFの効果をモデリングすることも可能です。

    出来る限りシンプルに

    包括的な営業報酬プランと同様に、SPIFも出来る限りシンプルなものを目指してください。パフォーマンスインセンティブがシンプルであれば、営業担当者に期待されている行動が明確に伝わり、報酬を管理しやすくなります。「Xを売れば、Yを得られる」という最も基本的なことが、営業担当者に伝わるようにするべきです。

    結果を分析し、調整する

    営業部門向けに新たな報酬制度を導入する際は、そのパフォーマンスとインセンティブ効果を分析することが重要になります。SPIFも例外ではありません。予測した結果と比較し、パフォーマンスに問題がないか確認してください。

    セールスサイクルによって異なりますが、パフォーマンス傾向を確認する際は、分析対象期間を十分に取ってください。報酬制度を設定後、放置しないことが重要です。営業向けSPIFのパフォーマンスを分析し、会社側が望む行動を促せていないのであれば、データからその原因を突き止める必要があります。そして、制度を微調整し、この分析/改善サイクルを繰り返してください。

    パフォーマンスの可能性を解き放つ

    SPIFを使用することには多くのメリットがあります。その1つは、規模にかかわらず、特定の目標の達成を後押しできることです。SPIFは、包括的な報酬制度の一部として、目標達成を促すために必要なツールになるかもしれません。

    その他のインセンティブの種類や、土台となるインセンティブ報酬プランの設計方法については、「営業報酬プラン設計のための決定版ガイド」をご覧ください。

    Incentive

     

    執筆者

    松波 孝治 Xactly株式会社 マーケティング本部長

    松波 孝治 | Xactly株式会社 マーケティング本部長

    Xactly日本法人のマーケティングを全体統括。大学卒業後、一環して外資系IT企業にて、マーケティングはもとより、コンサルタント、経営企画などにも従事。

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