公開日 2022.09.28  更新日 2022.09.28

営業マンのための建設的なフィードバック 10例

営業担当のパフォーマンスを向上させるためには、フィードバックが不可欠です。本ブログでは、営業部門のマネジメント力を向上させるための、ポジティブかつ建設的なフィードバックの例をご紹介します。

目次

    営業部門でのマネジメントを成功させるために最も重要なことの1つは、年次のパフォーマンスレビュー(査定)です。しかし、部下への評価は、どんなに優秀なマネージャーにとっても難しい業務です。効果的なパフォーマンスレビューを行うためには、「建設的なフィードバックを中心にすることが大切です。そうすることで、健全でポジティブな職場環境を作り上げ、営業担当のスキルやモチベーションを向上させることができます。

    建設的なフィードバックの例をご紹介する前に、ポジティブなフィードバックとは何かということについて考えてみましょう。

     

    ポジティブなフィードバックとは?

    Dotdash社の『The Balance Careers』によると、ポジティブなフィードバックとは、「パフォーマンスに寄与するようなポジティブな行動を強化し、パフォーマンスを低下させるようなネガティブな行動を排除する」ことを意味します。

    パフォーマンスレビューにおいてのポジティブなフィードバックは、インセンティブ報酬プランと同じように機能します。つまり、ポジティブなフィードバックは、営業担当と会社、両方にプラスの影響を与えるような行動を強化するのです。

    結局のところフィードバックの目的は、営業担当者が、自分はどのように行動しているのか、何が優れているのか、何を改善すべきなのかを把握することにあります。また、営業リーダーにとっては、コーチングが不足している領域がどこかなど、重要な情報を得る機会にもなります。

    ポジティブで建設的なフィードバックの伝え方

    ポジティブなフィードバックを伝えることは、一見簡単そうに見えます。しかし、営業担当者の行動は常に褒められるもの、というわけではありません。時には、パフォーマンスの低さについての厳しい会話が必要になる場合もあります。

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    建設的なフィードバックを行う場合、マネージャーはオープンなコミュニケーションを取ることを心がけましょう。関係者全員に発言の機会を提供する必要があることを忘れてはなりません。ポジティブなフィードバックを効果的に行うには、次のような注意が必要です。

    タイムリー

    ネガティブな行動を正すには、タイミングが重要です。マネージャーは問題に気づいたらタイムリーに指摘し、迅速に問題を解決する必要があります。

    具体性

    フィードバックの際は、内容の良し悪しに関係なく、目の前の具体的な課題のみを取り上げるべきです。関連した、あるいは類似したインシデントやプロジェクトのような話題を持ち込むべきではありません。

    客観性

    マネージャーの重要な業務の一つに、衝突の解決があります。性格や個人的な感情にかかわらず、フィードバックは個人的な意見や外部からの影響を受けない、事実に基づいた客観的なものでなければなりません。

    建設的

    フィードバックは、ポジティブかつ建設的な方法で行われるべきです。ネガティブな行動を改めたり、改善したりするための解決策や計画、またポジティブな行動を継続的に強化するための方法などを常に提示する必要があります。

    最終的に忘れてはならないのは、営業活動の強化が目的であり、ポジティブな行動を強化することでネガティブな行動をなくしていくということです。

    ポジティブなフィードバックを行うためのヒント

    ヒント1.「伝聞」ではなく「事実」を

    噂や又聞きした情報ではなく、自分が実際に確認したことや、知っている事実に基づいて、ポジティブなフィードバックを行うようにしましょう。こうすることで、外部からの意見や影響を排除し、誠実な会話を定着させることができます。

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    悪いフィードバックの例:「日中の通話数が減って、仕事をサボっていると聞きました。どうしたの?」

    ポジティブなフィードバックの例:「あなたの通話記録を確認したところ、毎日の通話数が減っていることに気づきました。何か問題があって、電話をかけられないのでしょうか?」

    パフォーマンスレビューは、常に営業担当者のデータに裏付けられたものである必要があります。そうすることで、問題があれば直接指摘し、変えるべき行動を具体的に示すことができるのです。また、ポジティブなフィードバックは、批判的ではない会話から始めるため、担当者が身構えてポジティブな会話ができなくなるリスクを減らすことができます。

    ヒント2. できるだけダイレクトに伝える

    できるだけ、雑音のようなものではなく具体的な詳細(重要で大きなもの)に焦点を合わせてフィードバックするようにしましょう。漠然としたものでは、営業担当者が何を改善すべきで何を継続すべきなのか、はっきり分かりません。

    例えば、見込み客との商談で営業担当者が主導権を握って話を進める能力に問題があるというケースがあったとします。この場合、なぜ商談がうまくいかないのか、その理由を具体的に説明しましょう。

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    悪いフィードバックの例:「見込み顧客とのミーティングがスムーズに行われていませんね。改善する必要があります」

    ポジティブなフィードバックの例:「見込み顧客との打合せで反対意見が出てくると、つい後ずさりしてしまい、打合せが間違った方向に進んでしまうことがありますね。どうすればより効果的に反対意見に対処し、打合せを軌道に乗せられるようになるのか、話し合ってみましょう」

    悪いフィードバックの例の場合、見込み客との商談において、営業担当者が何を改善すべきかが明確ではありません。ポジティブなフィードバックの例のように、パフォーマンスレビューの際に率直な意見を述べることで、営業担当者は継続または改善すべき具体的な行動を理解しやすくなります。

    ヒント3. 信憑性を示しパーソナライズする

    最良のポジティブフィードバックは、その人に合わせてパーソナライズされたものです。営業担当者に継続してほしい行動を示す具体的な行動例に、焦点を当てるようにしましょう。

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    悪いフィードバックの例:「あなたはよくやっているよ。」

    ポジティブなフィードバックの例:「打合せでの司会が本当にうまくなりましたね。さらに先日の見込み顧客との電話では、彼らの懸念をうまくかわして、電話をスムーズに進めていましたね。素晴らしい仕事をしていますよ!」

    ポジティブなフィードバックの例は、上司が営業担当者のパフォーマンスを評価し、彼らが組織全体に与える影響を認識していることを示しています。部下は自分のパフォーマンスが注目されていると感じることで士気が高まり、意欲的に業務に取り組むことができます。

    ヒント4. すべてを全体像に結びつけて考える

    営業担当者のパフォーマンスと行動が、会社の包括的な目標に貢献することは、どの企業にとっても望ましいことです。これを実現するために重要なのは、個人の行動と企業全体の業績との関係を明確にすることです。

    例えば、営業担当者の業務が会社の大きな目標にどのように結びついているか、を明らかにすることで、自分の行動がどれほど大きな力を持っているものなのかを理解できるようになります。

    悪いフィードバックの例:「今期あなたのパフォーマンスは低下しています。改善する必要があります」

    ポジティブなフィードバックの例:「今期はミーティングの数が減ってしまい、チームのパフォーマンスの平均値が下がってしまいました。どこに問題があるのかを探り、見込み客との会話に自信を持てるようにし、自分の役割にもっと意欲を持てるようにしましょう」

    個人の行動がより大きなチームにどのような影響を与えるかを説明することで、各担当者の価値と貢献度を示すことができます。また、エンゲージメントやキャリア目標についてより深い会話ができるようになり、営業担当者へのサービス向上とトップパフォーマー維持へとつながります。

    ヒント5. 愛をもって分け隔てなく接する

    常に優秀なパフォーマンスをする営業担当者を基準に考えてはいけません。忘れてはならないのは、優秀な成果を上げていない営業担当者であってもビジネスに貢献はしており、その貢献度は評価に値する、ということです。

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    悪いフィードバックの例:「ノルマは達成しましたが、ノルマを大きく超えることはありませんでした。なぜできなかったのですか?」

    ポジティブなフィードバックの例:「あなたは常に安定したパフォーマンスをしてくれていますね。目標を達成し、堅実な取引を行っているあなたは、チームと会社にとって貴重な資産です。あなたは自分の仕事を効果的に行うため、必要なものはすべて揃っていますか?」

    トップパフォーマーの社員を評価したいと思うのは当然ですが、それに見合うだけの愛情をもって他の営業担当者にも平等に接しているかどうか、確かめる必要があります。平均的なパフォーマーが成功していることを認識し、仕事に必要なものがすべてそろっているかを尋ねることで、彼らの功績を前もって認識しましょう。これによって非常に高い成果について、より効果的に対応できます。

    ヒント6. パフォーマンスの問題への迅速な対処

    ポジティブで建設的なフィードバックのためには、営業担当者とすぐに話し合うことが必要です。フィードバックをしなければいけない出来事が起こった直後、それが無理でもできる限りすぐにフィードバックを行いましょう。そうすることで、従業員はフィードバックされた行動を正確に覚えていられますし、もちろん、あなたがフィードバックするのを忘れる可能性も避けられます。

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    悪いフィードバックの例:「そう言えば、2週間前に言うのを忘れていました。先日の見込み顧客『X』との打合せでX・Y・Zを行っていれば、より良いものになったはずです。その次の打合せでは、それを意識していましたか?」

    ポジティブなフィードバックの例:「先ほどの打合せについて、少し話をしましょう。あなたがどう思ったのか、次回は何を計画しているのかを知りたいのです。今後の会話をよりスムーズにするために、私からもいくつかの提案をさせてください。」

    特に、営業活動における行動を修正したい場合、担当者との会話をコーチング機会としてアプローチしてください。マネージャーは営業担当者に利益をもたらし、今よりも成長できるような方法でサポートすべきです。そのイベントや会話が記憶から消えつつあるタイミングでフィードバックを行っても、営業担当者の行動改善にはつながりません。

    ヒント7. 常に解決策かアクションプランを提示

    営業のパフォーマンスレビューにおいては、営業担当者の役割における責任と、その効果に焦点を当てるべきです。その結果、職場での成果が認められるとともに、営業担当者が改善すべき領域の行動計画も必要になります。

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    悪いフィードバックの例:「あなたの担当案件は、次のステージに移るまでに時間がかかっています。スピードを上げることに注力してください。」

    ポジティブなフィードバックの例:「あなたの案件は、チーム平均よりも遅いペースで進んでいます。営業サイクルの中で、一番難しいと感じているのはどの部分ですか?各ステージのトレーニングを再受講していただき、通常の販売プロセスを一緒に確認しながら改善点を探っていきたいと思います」

    ポジティブなフィードバックを行う際には、建設的な批判が不可欠です。ここでは、マネージャーが営業担当者のトレーニングに投資し、成功するため必要なツールを提供したいと考えている、ということを示しています。

    ヒント8. 成功するために必要なものを聞く

    ポジティブなフィードバックをすることは、レビュープロセスの一部に過ぎません。レビューは、営業担当者に仕事をうまくこなすために必要なリソースがあるかどうかを確認する時間でもあります。例えトップパフォーマーであっても、追加リソースを要求したり、継続的にパフォーマンスを向上するためのリクエスト機会を提供するべきです。

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    悪いフィードバックの例:「あなたはこのエリアで素晴らしい成果を上げています。これからも頑張ってください」

    ポジティブなフィードバックの例:「あなたはこのエリアで優秀な成績を残しています。今後も高いレベルで活躍してもらうために、より良い設備やトレーニングを提供できないでしょうか?より効果的に仕事をするために必要なものはありますか?」

    ヒント9. レビューを双方向の会話にする

    営業のパフォーマンスレビューは、マネージャー主導で担当者のパフォーマンスをカバーすることが多いのですが、一方通行の会話となってしまってはいけません。営業担当者が自分のパフォーマンスや強み・弱みについてどのように考えているのかを共有できるような形でレビューの時間を構成しましょう。

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    悪いフィードバックの例:「あなたの強みと弱みをレビュードキュメントにリストアップしました。共有資料を見てみましょう」

    ポジティブなフィードバックの例:「正式なレビューをする前に、私はあなたがどのように仕事をしているのか、どのような分野で成功しているのか、そして改善したい点やもっと学びたいことについて、知りたいと思っています」

    パフォーマンスレビューをオープンな会話にすることで、あらゆる問題に対処するための解決策を、営業担当者と一緒に考えることができます。また、営業担当者の考え方や、自身のパフォーマンスをどのように見ているか、将来のキャリアのためにさらに学びたい分野があるか、などを知ることも可能になります。

    ヒント10. 定期的なチェックを続ける

    公式なパフォーマンスレビューは定期的に、最低でも年に1回は行うべきです。しかし、これ以外にも、担当者のモチベーションやワークライフバランスが保たれているかどうかを確認することが重要です。

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    悪いフィードバックの例:「わかりました。次の四半期か次のレビューの時にまたチェックしますね。もし何か話したいことがあれば教えてください」

    ポジティブなフィードバックの例:「毎週あるいは毎月、定期的に様子を見て、お客様が常に軌道に乗っていることを確認し、問題の芽をできるだけ早く摘み取れるようにしましょう」

    悪いフィードバックの例で、会話する場の設定について可能性を残しているように感じられますが、決してそうではありません。営業担当者のパフォーマンスやコンディションについて最新の情報を得るためには、定期的に確認することが必要です。

    ポジティブフィードバックを当たり前に

    ポジティブフィードバックは、企業文化に根ざしたマネジメントスタイルであると言えます。効果的にポジティブなフィードバックの手法を導入するには、トップレベルの経営層のトレーニングから始まり、それをその下の役職まで継続的に浸透させていく必要があります。リーダーも従業員も同じようにポジティブなフィードバックの考え方を取り入れ、実践するようにマインドセットしていきましょう。

     

    ※本記事はこちらの記事をもとに加筆修正したものです

    執筆者

    松波 孝治 Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    松波 孝治 | Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    Xactly日本法人のマーケティングを全体統括。大学卒業後、一環して外資系IT企業にて、マーケティングはもとより、コンサルタント、経営企画などにも従事。