公開日 2023.05.30  更新日 2023.05.30

コミッション制度とは?その種類や設計の方法について

コミッション制度は、給与体系の1つであり、歩合制・出来高払い制のことを指します。コミッションは営業活動を促進させるものですが、どんなコミッション制度でも適用できるとは限りません。様々なコミッション制度について学び、どの制度が自社の営業パフォーマンス向上に繋がるか判断してください。 本ブログでは、この「コミッション制度」に関して、様々な必須知識をご紹介します。

目次

    コミッション制度とは何か?

    コミッションとは、営業職における変動給(歩合給とも言われます)に分類される賞与のことです。営業担当に対する賞与の支給方法を定め、営業担当に期待される行動を示すことができます。このコミッション制が採用されている場合、営業職の報酬構造は、固定給とコミッションで構成されるでしょう。基本給とは、一定額が支給される報酬のことです。

    このコミッションを報酬制度に組み込むことで、自社の営業方針に従って、様々な調整を行うことが可能になります。変動的賞与であるコミッションは、営業部門全体のパフォーマンスを向上させる強力なツールとなるかもしれません。

    まずは、自社によって最適なコミッション制度は何か?というものを定めていく必要があります。

    コミッション制度が効果的な理由

    営業パフォーマンスの要はモチベーションにあります。モチベーションがなければ、営業担当は商談を積極的に成立させるようには働かないでしょう。モチベーションをうまく管理することができれば、企業も営業担当も満足の行く結果につながります。そのモチベーションを管理する上では、コミッション制度に代表される金銭的インセンティブが大きな効果を発揮することが、数多くの研究やXactlyの調査からも明らかになっています。以下のグラフは、Xactly Japanが2022年の末に調査した結果であり、コミッション制(=成果連動型の報酬制)で仕事をしている営業職員の方が明らかに仕事のやりがいが高いことを示しています。

    zuhan1_whats commision

    ところで、企業はいくらくらいを報酬として従業員に支払っているのでしょうか?ハーバードビジネススクールによると、米国企業では平均8,000億円以上を営業管理費として支出していて、そのうち2,000億円は毎年、純粋にコミッションの報酬として支払われているそうです。

    ただ、考えるべきポイントは、コミッションの報酬制度がどの会社にも同じように機能するわけではないということです。企業目標や、営業担当の職責、その企業が販売する製品/サービスという要素に応じて、効果的かつ効率的に営業パフォーマンスを向上させられるフィットしたコミッション制度を設計する必要があります。規模の大きい企業では、何から始め、どのような設計や調整がベストなのか戸惑うことも多いでしょう。

    コミッション制度の種類

    1. 売上ベースのコミッション制度

    最もシンプルなコミッションは、売上を上げるごとに一定の割合が支払われる制度です。営業担当は自身の売上から一定の割合を報酬として獲得できます。例えば、1,000万円の製品を販売している企業において、コミッション率5%で制度設計を行うとします。この場合、営業担当は製品を販売するごとに50万円の賞与を獲得します。

    売上ベースのコミッション制度が有効なケース

    売上ベースのコミッション制度は、小規模な営業チームや、それほど複雑ではない商品・サービスを販売している組織におすすめの制度です。また、固定価格で単一の製品・サービスのみを扱っている組織にも有効です。

    2. 粗利益ベースのコミッション制度

    粗利益ベースのコミッション制度もシンプルな制度の1つです。売上ベースと同様の仕組みですが、粗利益ベースの制度では、販売価格と関連コストなど、各取引の利益を考慮します。

    粗利益ベースのコミッション制度において、コミッションの計算に使われるのは総売上ではなく、発生した粗利益です。

    先ほどの例で考えてみましょう。例えば、ある製品を1,000万円で販売しており、その製品を売り上げるごとに100万円のコストがかかるとします。この場合、この取引から得られる会社の利益は900万円です。コミッション率が5%の場合、営業担当は45万円(=利益900万円の5%)を獲得することになります。

    粗利益ベースのコミッション制度が有効なケース

    粗利益ベースのコミッション制度は、営業担当のモチベーションを促しつつ、最終利益も確保します。営業部門やビジネスの規模が拡大し始めた段階に有効な制度です。

    3. 段階的なコミッション制度

    段階的なコミッション制度は、営業担当に常に一定レベルを上回る売上を目指してもらえる制度です。

    先ほどの例を参考に、売上高1000万円までは、ある製品を販売するごとに5%のコミッションが支払われるケースで考えてみましょう。

    段階的なコミッション制度の場合、総売上高が1,000万円を超えるとコミッション率が7%、3,000万円を超えると10%などと上昇していきます。このようなコミッション制度の下では、営業担当は売れば売るほど高い報酬率のコミッションを獲得できることから、期待以上のパフォーマンスを発揮するようになります。非常に効果的な制度です。

    段階的なコミッション制度が有効なケース

    段階的なコミッション制度は、ビジネス拡大する際に取り入れることが推奨される制度です。期待を上回るパフォーマンスを促すように設計されているため、規模や基盤を強化した営業部門からより多くの売上を立ててもらうための非常に効果的な報酬モデルとなっています。

    4. コミッションの前払い

    これもシンプルなコミッション制度ですが、営業担当に「保障」としてコミッションを前払いする体系もあります。ローンやキャッシングなどと同様に、一般的には既定額が事前に支給されます。制度によっては、結果に応じてこの前払金を返済するように設定することもあります。

    例えば、営業担当に前払金として5万円が支払われるとしましょう。分かりやすくするために、この営業担当は仕事に就いたばかりの新人とします。初月は一切売ることができないため、5万円の前払金を給与として支給してもらえます。2か月目に、20万円のコミッションを獲得したとします。

    この前払金が回収可能、つまり営業担当に返済義務がある支払金である場合、営業担当に支払われるコミッションは、前月に支払った前払金を差し引いた15万円に調整されることになります。一方、回収不可能な前払金の場合、前払金は俸給のような扱いになります。営業担当は5万円を返済することなく、20万円のコミッションを全額支給してもらえます。

    コミッションの前払いが有効なケース

    このコミッション制度は、主に新人が仕事に慣れるまでのサポートとして、または不確実な情勢下における安定として取り入れられています。前払金は、新人がフル稼働できるようになるまでの金銭的な補助となるだけでなく、経済や市場の混乱など、ビジネスに影響する外的要因に見舞われた際の安定にもなります。

    5. 乗数を伴うコミッション制度

    乗数を伴うコミッション制度では、企業側が報酬戦略を柔軟に調整することができますが、制度の設計と実行は、面倒なプロセスになるかもしれません。乗数を伴うコミッション制度の下では、基本的な売上ベースのコミッション制度を基に、売上目標の達成率を乗算してコミッションを導きます。端的に言うと、この制度は、売上ベースのコミッション制度と段階的なコミッション制度の融合形と考えることができます。

    例えば、コミッション率が一律5%だとします。ここに乗数を伴うコミッション制度を適用した場合、売上目標の達成率に基づき、支給額が変化します。

    上記の表から、各営業担当の売上目標達成率によって、適用されるコミッション率が変化することが分かります。ご覧の例に基づき、販売している製品が1,000万円、営業担当の売上目標達成率が80%の場合は、4.5%のコミッション率が適用されることになるため、この営業担当には45万円が支払われることになります。

    乗数を伴うコミッション制度が有効なケース

    乗数を伴うコミッション制度は、営業インセンティブ計画に複数のパフォーマンス指標を反映させたい営業リーダーに推奨される制度です。経営戦略上重要な商談が優先されるように、営業活動を促すことができます。乗数を取り入れることで、コミッションに営業サイクルを反映させることができるほか、営業担当が期待を上回るパフォーマンスを発揮するようにモチベーションを促すことができます。

    6. フルコミッション制度(完全歩合制度)

    フルコミッション制度とは、歩合のみで営業担当に給与を支払う制度です。営業担当の収入は完全に変動給です(固定給ゼロ)。フルコミッション制度は、必ずしも営業報酬プランの一部ではないという意見もあるでしょう。しかし、フルコミッション制度の意味を知っておくことが重要です。

    フルコミッション制度の下では、営業担当は極めて意欲的に商談を成立させようとしますが、一方で、そのリスクの大きさ故にストレスも多く、燃え尽き症候群に陥る可能性が高まるかもしれません。

    フルコミッション制度が有効なケース

    一般的には導入されていませんが、営業サイクルが短い企業、契約社員・短期雇用社員向け、多額のコミッションを獲得できる可能性がある場合など、フルコミッション制度が最も理にかなっているケースもあります。

    自社に最適なコミッション制度を判断する

    コミッション制度の作成方法は1つではなく、経営プランニングと同様に、「これが最適解だ」とも言えるようなコミッション制度はありません。自社に最適なコミッション制度を判断する際は、以下の点を検討してみてください。

    • 企業の目標や目的は何ですか?
    • 営業リソースのキャパシティを踏まえ、現実的にどの程度のパフォーマンスを期待できますか?
    • どうすれば、各役割の責務に基づいてモチベーションを促すことができますか?
    • 既定の賞与によって適切な行動を促せていますか?
    • 既定の賞与制度によって、売上目標を上回る営業パフォーマンスを促せていますか?

    これらの質問への答えが、コミッション制度作りに必要な基本情報になります。これらの情報に基づき、自社の営業部門に最適な制度や最高のパフォーマンスを促す制度について、より適切な判断を下すことができるでしょう。

    適切なコミッション率についても、正解があるわけではありません。適用すべき適切なコミッション率を判断するには、業界、職責、地理的な場所などの要素も検討する必要があります。以下のセクションでは、適切なコミッション率の判断に役立つベストプラクティスをいくつかご紹介します。

    • 業界データに対するベンチマークを設定する:営業担当者の離職理由として最も多いのが、より報酬の高い機会を提供する企業への転職です。HubSpotのデータによると、給与が10%上がる場合は40%の営業担当が退職します。Xactlyが提供する18年以上の営業パフォーマンスに関するインサイトのようなデータベースを使用すれば、さまざまな業界のインセンティブ関連ベンチマークを導き、それを自社の水準と比較し、自社にとって最も成功する戦略を判断できるようになります。
    • 営業の役割ごとにインセンティブを調整する:営業職も役割によって責務は異なります。マネージャーとその部下では仕事の内容が異なるため、同じ成果を期待することはできません。ビジネス開発担当の仕事は、営業担当やセールスエンジニアの仕事とは異なります。コミッション制度にその違いを反映させるべきです。

    目指すは持続的に稼げる報酬制度

    最高のパフォーマンスを促すためには適切なコミッション制度を定めることが不可欠ですが、報酬制度の成功要因はそれだけではありません。営業担当のモチベーションを最も効果的に上げられる方法を継続的に模索していく必要があります。市場が絶えず変化し、一夜にして劇的な変化が起こる状況下では、適宜調整することが不可欠です。それには、次のような質問にリアルタイムに答えられる必要があります。

    • 目標達成のために最適な報酬制度が設定されていますか?
    • 過去のパフォーマンスやインセンティブの成功体験をどのように生かすことができますか?
    • 既存のコミッション制度で改善すべき点はありませんか?
    • 同業他社と比較して、競争力のある報酬を営業担当に支払っていますか?
    • 成績トップの営業担当が辞めても、目標を達成することはできますか?

    このような質問への答えを得るには、ITの力が必要でしょう。企業がデジタルトランスフォーメーションすることで得られるインサイトです。企業としては、後回しにはできない課題です。

    Xactly Incentのようなインセンティブ報酬管理ツールがあれば、データから導いた有用なインサイトに基づき、報酬制度に関して戦略的な意思決定を下し、目標達成に向けて常に最善の道を歩めるようになります。営業リーダーや経営陣は、確実に報酬プランを立て、パフォーマンスをより詳しく可視化し、混乱が生じたときにも慌てることなく、積極的に売上計画を調整できるようになるでしょう。

    より効率的で、売上を伸ばせるインセンティブ制度に向けて調整を行う方法については、Xactlyのガイド「営業報酬プラン設計のための決定版ガイド」をダウンロードしてください。

    Incentive

     

    執筆者

    松波 孝治 Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    松波 孝治 | Xactly(エグザクトリー)株式会社 マーケティング本部長

    Xactly日本法人のマーケティングを全体統括。大学卒業後、一環して外資系IT企業にて、マーケティングはもとより、コンサルタント、経営企画などにも従事。

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