少子高齢化や価値観の多様化を背景に、限られたリソースで多様なニーズに応えるため、生産性の向上がこれまで以上に重要視される時代となりました。
生産性向上というと製造などのプロセスの改善をイメージする方が多いと思いますが、営業活動も例外ではありません。これまで目に見えなかった営業活動を可視化し、どのプロセスを効率化していくかを特定し、実際に改善を行い、営業生産性を向上させることは重要です。
今回は、営業生産性の意味や計算方法、生産性低下を招く原因、営業生産性向上のポイントやツールを紹介します。この記事を参考に、ぜひ営業生産性の向上に取り組んでみましょう。
営業生産性とは?
営業生産性とは、規定の労働時間の中で、かかった費用(インプット)に対して、どれだけの売上成果(アウトプット)を得られたかの指標です。
営業生産性とはなにかを理解するため、ここからは具体的な計算方法やKPI、向上を図る重要性について見ていきましょう。
営業生産性の計算方法
営業生産性の計算方法は下記の通りです。
営業生産性 = 売上成果(アウトプット) ÷ かかった費用(インプット)
つまり、アウトプットを増加させる、もしくはインプットを減少させることができれば、営業生産性を向上させることができます。
営業生産性を向上させる重要性
公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較 2021」によると、2020年の日本の時間当たりの労働生産性は49.5ドル(5,086円*)とOECD加盟38ヵ国中23位、就業者一人あたりの労働生産性は78,655ドル(809万円*)と8ヵ国中28位と低い順位に位置しています。
* 1$=103円で計算されています
加えて、日本の少子高齢社会化に伴い、労働人口が今より減少することを踏まえると、働き方改革を推進し生産性を向上させることは多くの日本企業にとって重要な課題となっているといえます。
営業生産性の低下を招く原因
次に、営業生産性の低下を招く原因を5つご紹介します。知らず知らずのうちに営業生産性の低下を招いていないかチェックしてみましょう。
裏付けのない売上目標
市場の状況や、営業現場の状況を加味せず、根拠のない売上目標を立ててしまうと、実現不可能な数値を追い続けることになる可能性があります。それが続き、目標に到達できないことが当たり前の環境となってしまうと、従業員のモチベーションは上がりません。適切な根拠をもとに実現可能な売上目標を立て、従業員が高いモチベーションを保ちながら、目標に向き合って営業活動できるようにする必要があります。
残業を考慮した働き方
多くの時間を業務に費やすことを「愛社精神」と捉えて残業を美徳としている企業が多くあります。また、残業ありきで給与設計がなされ基本給が低く設定されている企業もあり、収入を増やすために従業員が残業する風潮も見られます。
しかし、無駄に業務時間を延ばすことは従業員の体調不良やモチベーション低下を招いたり、売上成果に影響がない中で必要以上に長く働くことで給与を上げよう(企業としては給与支払が増える)としたりすると、結果的に営業担当者だけではなく企業としても、生産性が低下する原因となります。
商談の管理不足
営業活動において、商談の管理ができていないと、商談の全体像をつかむこともできず、商談全体の中での優先度付けが難しくなり、本当は確度の低い商談に多くの工数を割いてしまったり、商談単価の小さい商談に多くの工数を費やしてしまったりする可能性があります。その結果、確度の高い商談を取りこぼしたり、成約できても売上高が大きくならなかったりします。
また、過去の商談情報の管理も重要です。過去データが管理されていないと、再度同じ顧客にアプローチをすることになった際に、以前顧客から聞いた話した内容やこちらからの提案内容を振り返ることができず、非効率な営業活動になったり、顧客の心象を損ねることになりかねません。結果的に、商談の確度が下がる可能性があるなど、生産性を低下させる要因となります。
マネージャーの管理不足
営業業務が各営業担当のみで完結してしまうと、一人ひとりの経験や能力、勘に頼って、よって業務の進捗、営業成果が大きく変わってしまいます。営業活動そのものは、営業担当それぞれの個性が付加価値にはなりますが、一方で商談を確実に成約するためには、ベストプラクティスとして考えられるプロセスが存在します。その営業プロセスに沿って、適切に活動が行われているかの管理は重要であり、それはマネージャの役割の一つでもあります。
無計画な売上の着地見込み
営業は規定の期間でどのくらいの売上があげられるか着地見込みを見積もっていることでしょう。しかし、その着地見込みが、勘や直感、そして気合に頼ったものだった場合どうなるでしょうか。実は、売上目標には届きそうもないにも関わらず、目標を達成できるような見通しを立ててしまうと、売上を伸ばすための必要なアクションが早期に講じられず、結果的に目標の未達、そして売上が上がらないという結果が待っています。これは大きく生産性を損ねる一因になります。
営業生産性を向上させるポイント
では、営業生産性を向上させるにはどのような取り組みが有効なのでしょうか。ここでは5つのポイントをご紹介します。
目標とマイルストーンを設定する
営業計画の段階で、売上目標と、それを達成するために必要なマイルストーンを設定しましょう。売上目標を立てる場合は、これまでの売上実績、市況、営業担当の成熟度などを考慮して、S.M.A.R.T.な目標設定を心がけます。目標を設定したら、達成までの過程で中間目標としてのマイルストーンの設定も効果的です。
目標やマイルストーンを設定すれば、それを達成しようとするモチベーションも発揮され、営業生産性向上につながります。
営業プロセスの定義・管理をおこなう
営業活動における営業プロセスの定義・管理を行いましょう。各企業の生業に合わせ、もっとも成果の上がるだろうベストプラクティスとなる営業プロセスが定義されていれば、それをベースにして各営業担当は効率的に業務をこなせます。
さらに、定義した営業プロセスの各ステップで、顧客や営業活動の状況を見える化することで、営業活動においてボトルネックとなっている部分の洗い出しができ、より効果的な営業活動がおこなえるようになります。
データに基づいた売上予測(フォーキャスティング)を行う
目標設定について前述しましたが、目標設定をした後は、規定された期間内でどのくらいの売上が見込めるか売上の予測を立てましょう。その際に重要なのは、勘や直感、願望や気合に頼った主観的で希望的な着地予測ではなく、データに基づいた売上予測(フォーキャスティング)が重要です。それにより、目標とのギャップを正しく把握でき、必要となる行動を逆算できるため、営業活動の最適化につながります。
売上予測(フォーキャスティング)の立て方については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご参照ください。
成果にあった報酬管理を行う
労働時間をベースにした報酬制度になっていると、売上を伸ばそうとするモチベーションに作用しません。また最悪の場合、残業の美徳化や残業代稼ぎもが発生しやすくなります。営業個人個人の成果に見合った報酬制度を整えることで、営業担当のモチベーション向上に寄与し、売上の増加、ひいては営業活動の生産性向上にもつながります。
支援ツールを利用する
営業活動をサポートするる営業支援ツール(SFA)や顧客関係管理ツール(CRM)はもとより、上述した「営業計画」、「売上予測管理」、「報酬管理」といった営業生産性に寄与する専用の支援ツールを利用することは重要です。
SFAやCRMの広がりにより、営業活動の多くはデジタルデータで保持・管理されるようになりました。ここではそのデータを活用してビジネス成果に変えていくために、更なるテクノロジーの力が大きく役に立ちます。
営業生産性向上にはXactly Forecasting
営業生産性を向上させるポイントとして支援ツールの活用に触れました。この営業生産性の向上に効果的なツールが「Xactly Forecasting」です。
「Xactly Forecasting」は、SFA/CRMとシームレスに連携して、データに基づく売上予測やパイプライン管理を自動でおこなうことができるソリューションです。AI(人工知能)/ML(機械学習)を活用した確度の高い商談の抽出、パイプライン分析による営業活動の改善コーチングなど、さまざまな角度から精度の高いフォーキャスティングと最適なパイプライン管理を行います。これにより、トップラインの底上げができ、営業生産性向上が実現できるのです。
実際のXactly Forecastingの導入効果については、セントルイス・ワシントン大学が弊社のお客様に独自で調査した結果があるので、こちらからご覧ください。また「Xactly Forecasting」の機能詳細はこちらからご覧ください。